柚のかくし味 by 柚


2004-02-13 チリから戻って

サンチアゴを出て、二日半の旅、飛行機で二泊して、やっとのご帰還である。ふう、疲れた。途中、ロスアンゼルスで1日観光のおまけつき。いろいろあったけど、まずは、チリ報告のつづきを。

天国のごとき谷、ヴァルパライソ。

 1536年にスペイン人が上陸し、このチリを征服したのだ。征服のあとは、いたるところに見られる。南米のほとんどがスペイン語だと言うことからもわかる。さて、坂の多い港町ヴァルパライソはどこか長崎の町を思わせる。長崎では、その昔荷物の運搬は馬だったが、ここでは、アセンソールという木製のロープウエー。あっちにもこっちにもそれが設置されていて、しかもこれが100年も前のものというから驚く。港町は港町というだけでその雰囲気が好きだ。潮の匂いとなんともいえないほどの猥雑さ。見晴らしもすばらしく、夕暮れていくときの色も素敵。

この町にはもう一人のノーベル賞受賞詩人「パブロ・ネルーダ」の自宅が公開されている。この一帯は青空美術館と呼ばれている。家々の外壁などに壁画が描かれていて、著名な芸術家の作品もある。実は、ここだけでなくわたしがみたチリの町は落書きの多い町である。下手な落書きをされるよりは、モダンな絵を描いてもらった方がましとばかりに、わざわざ描いてくれとお願いすることもあるとか。

さて、パブロは、抵抗の詩人で、ファシズムに詩で抵抗した人。

抵抗の詩人の家で

美しい詩の中に織り込まれているのは、怒りと絶望。彼は抵抗の末に獄死している。チリは何度も政変を経験している国。どんな時代にも、痛みを分かち合い、自分を犠牲にしてでも自由を守ろうとするのはふつうの人々。穏やかな海辺の岡の上に建つ詩人の住まいの窓辺に立って、そんなことを考えた。


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