柚のかくし味 by 柚 |
ライターという言葉について考えた。先月のことだけど、宣伝会議の編集・ライティング講座で「本づくり」のことについて話した。そのおかげで、忘年会に呼んでもらった。夜の9時過ぎからだというのに、たくさんの受講生たちが集まった。
なんとそこに13年前、わが社で働いていた江崎君がいた。当時は手書き原稿用紙で何度も何度も書き直したし、その上、「あんなことをいわれた」「こんなことをいわれた」と彼はよく覚えている。そうだった。あの頃はワープロもパソコンもなく、すべては原稿用紙とレイアウト用紙。赤字が入れば、また一から書き直すしかない。
話しているうちに、本を作りたいと一途に思っていた頃に戻っていった。フリー校正からフリーライターに。そして、いつしか、本当の出版社を始めるにいたったのだが、ここに集まっている人たちの何人が自分の夢を実現できるのだろう。結局は、一歩前に出るしかないのだけれど。
フリーライターと書いたが、この言葉はコピーライターと区別して使われていたように思う。つまり、商業コピーを書く人がコピーライターで、それ以外はライター。私が思っていただけだろうが。でも私は心のどこかで、ライターという言葉にずっとなじめないでいる。もの書きといったほうがあたっているかもしれないなどと思うのだ。以前、肩書きをどうしましょうかといわれたとき、困った。詩人、コラムニスト、エッセイスト、ライター、どれも違う。編集者というのもねえ、とそのときは結局詩人に落ち着いたのだったけれど。
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