柚のかくし味 by 柚 |
暖かい冬ではあるけれど、朝はやはり寒い。だから朝は、日のあたる場所を探して歩くのだが、これが意外と少ない。
子供のころ、田舎で育ったので、道路は広く、朝晩学校に通う道はどちら側かはいつも日があたっていた。あ、そうか、家々の軒も低かったからだ、と気づく。どの家も南側に窓が大きく開かれ、日のあたらない家などなかった。それがあたりまえだったのに、都会で暮らすと、道路は高いビルに囲まれ、そのビルが日をさえぎる。そんなことは歩かないとわからない。
『陽のあたる坂道』石坂洋次郎の青春もの。ずっと昔に読んだ。これは後に映画にもなっていて、石原裕次郎と北原三枝のゴールデンコンビの共演だった。
音楽では「朝日のあたる家」ベンチャーズとアニマルズのヒット曲。実はちあきなおみのニューアルバムのタイトルでもある。
ほかに『日のあたる白い壁』という江國香織の美術エッセーもあった。
映画「陽のあたる場所」はモンゴメリー・クリフトとエリザベス・テイラー主演の名画。実際にアメリカで起こった事件を元に書かれた『アメリカの悲劇』の映画化だという。まさに陽にあたる場所に出るために選んだ愛と打算。人生を誤った貧しい青年の物語である。野望のために殺人を犯してしまう貧しいアメリカ青年をアロン・ドロンが演じた「太陽がいっぱい」を髣髴とさせる。
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