柚のかくし味 by 柚 |
街でたくさんの振袖を着た若い女性に会った。そうか、成人式なのか。私は福岡に出てきてはじめての正月すぎだった。あのころ福岡市の成人式は19歳だったので。
成人式という儀式に抵抗感があったので、誘われて冬山登山をした。「成人残念会」をしてやろうというのだ。冬山といっても、それほど大げさなものではなく、近場の雷山。今より寒かった冬、雷山にはスキー場があった。スキーこそしなかったけれど、板を借りて、雪の斜面を滑った。爽快だったなあ。忘れられない、一日になった。
自分らしい成人式の迎え方はあると思う。私の場合、おかげで振袖などというものを着るチャンスを逃してしまったけれど。考えると、あのころからすでに、みんなと同じことをするのはいやだったようだ。
だけど、何で残念会だったのだろう。成人になるのは、残念、もう少し、子供でいたい、という思いだったのか。学生だったので、社会人という意識から遠かったのかもしれない。頼りない大人の入り口への入り方だった。考えたら、大学の卒業イコール社会人という意識が強い。今はもっとそうだろう。大学卒業を成人式に代えるという考え方もあっていいのではないか。そんな気もするのだが。
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