柚のかくし味 by 柚 |
長い長い一日の始まりだった。今日の目的はラ・セレナ。ひたすら北へのドライブである。サンチアゴの街から450キロもある。福岡から鹿児島まで300キロだから、その1.5倍もあるのだから、けっこうな長旅である。
さて、これが北半球だと、当然、寒いほうに向かうことになるのだが、南半球は逆。ここでは、北へ向かうとは、暑いほうに向かうことを指す。こんな地球の裏側にくるということは、心の持ちようも切り替えろということだろう。そう思うと、少しぐらいのことは気にせず、どっしりと構えればいいのだ。何しろ、450キロは遠い。
月曜日とあって、道路はどこも同じで混んでいる。高速道路に乗ってからは、快調に進む。たくさんの車が、車の屋根の上に家財道具一式と見紛うほどのトランクや荷物を載せている。1月、2月は長い夏休み休暇で、バカンスを過ごすための大移動をする車が多いのだ。最初に寄ったのは、通称セーター村。セーターやショール、マフラーなど、ウールやアルパカ、カシミヤなどで編んだり織ったりした製品だけを売る村があるのだ。ここは、『地球の歩き方』にも載っていない。でも、チリでは有名。たしかに、セーターだけを売る店がこれだけそろったところはほかにないかも。観光バスもやってくる。ここのぶらぶら歩きをして、あったかそうなストールを買う。5000ペソだから、830円ぐらい。実はこれが後の旅で重宝するのだ。何しろ、昼は30度まで上がるのに夜は冷え込む。セーターのようなものがないと寒くて外も歩けないほどだから。
さて、高速道路に戻ってランチのためのレストラン探しをするのだが、チリの高速道路はわき道がたくさんあって、途中からどんどん外れる事ができるし、ユーターンも出来る。自転車の人もれば、なんとひっきりなしにヒッチハイカーがいるのだ。ヒッチハイクはどこででも見かけるけど、まさか、高速道路にまでいるなんて。車は最高速度120キロまでオーケーで、車はビュンビュン飛ばしているというのに。ヒッチハイクをしているのは、バックパッカーが多いが、若いカップルあり、若い女の子、親子連れなどさまざま。この国では、日常的な光景。子供のころから皆んなやるので慣れているのだそうだ。
もっと面白いというか、意外というかだったのは、物売りの多いこと。阿蘇にドライブに行くと、とうもろこし売りが道路沿いにいるけれど、ここは、高速道路なのだ。野菜、果物は言うに及ばず、パン売りも多い。彼らは手にかごを持ち、遠くからでもわかるように、白旗をまさに千切れるように振っている。それでも、アッと思ったときは通り過ぎている。何しろ車は早いのだ。
果物はメロンか、ブドウ、パパイヤなど。こちらは、手にかごを持ち、かごに入った果物を高く手で持ち上げて、アピールしている。それから魚。大きな川を過ぎたときだった。手に何か提げた人がしきりに手を振っている。よく見るとこれが魚の干物なのだ。
次はヤギ一匹。これがなんともすごい。両手を大きく広げて開いた肉をこれみよがしに掲げている。あまりにも面白そうだったので、車を止めてよく見てみたら、たぶん子ヤギをまるごと開いたものだった。一匹8000ペソ、日本円で1300円ぐらいだという。きっと、キャンプに行く車などに買ってもらうのが目当てなのだろう。
それにしても、豪快である。このあたりはヤギや羊、牛、馬が放牧されているから、誰かが思いついたのだろう。あ、そういえばヤギ乳で作ったチーズも売っていたので買ってみた。少しクセがあるけれど、あっさりした味でおいしい。
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