柚のかくし味 by 柚 |
カワカミさんの一言で、ちょっと思い出したことがある。これも高校時代のこと。高校の普通科を受験したのだが、幸い入試が終わって合格の通知が届いた。その中に女子のみ、学校に来るようにと一言が添えられていた。呼ばれたら行くしかない。その日、なんともう一度試験があったのだ。英語と数学。クラス分けの試験との説明があった。試験が終わって今度は保護者が学校に呼ばれた。母の言うには、女子クラスと進学クラスのどちらを希望するか、聞かれたという。わたしは思った。そんなの親に聞くのではなく、本人に聞いて欲しい。
母は、「どうせ短大に行かせる予定なので、女子クラスでもいいのではないか」と答えたらしい。しかし、そのとき先生がこういったという。「そうですか。でもまあ、この成績でしたら、そう決め付けなくてもいいでしょう。一応、進学クラスにしませんか」と。こうして、わたしは進学3クラスに入った。確かにそれからの3年間は厳しかった。しかし、わたしはどうしても、なんでわざわ女子クラスを作る必要があったのか、どうして、女子生徒だけ、クラス分けの試験を受けなければならなかったのかって。
そのことはずっと気になっていた。このことを同窓会の席で話したことがある。驚いたことに誰も覚えていなかった。でも、恩師は認めた。「そうだった。あの頃はそんなことをしていたなあ。それはしばらく続いて終わった」と。そう、みんなはそんなことを気にもしていなかった。
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