柚のかくし味 by 柚 |
白石さん兄弟の本、2冊目はお兄さんの一文さんの本『見えないドアと鶴の空』だ。兄弟といってもやはり雰囲気違うなあとまず思った。文郎さんのは、とても真面目に男と女の関係性を解き明かしていく内容だったが、一文さんのは、手法が違う。
ミステリー仕立てなのである。人の心の闇に踏み込む方法として超常現象を使う。つまり、この世にはまだまだ解明できないことがあって、人と人との関係性にもそれが言えるというわけである。
何しろ、ミステリー仕立てなので、詳しい内容を書くわけにはいかない。ただ、ちょっと今風というか、手法としてうまいなあと思う。宮部みゆきがテレパシーやサブリミナル効果をうまく利用したミステリーを発表したときも、あたらしい感覚のミステリーだと思ったけど、どこか似ている。
『見えないドアと鶴の空』は、恋愛関係だけにどろどろとしたものもがあって、宮部の明快さとはやはり違う。
兄弟の小説はそれぞれ一冊読んだだけなので、決め付けてしまうわけにはもちろんいかないけれどが、わたしが考えたのはこうだ。
一文さんは、もっとミステリー色を強くするといいのではないか。
文郎さんのほうは、ちょっと古いけれど、島尾敏雄の『死の棘』のようなとことん男と女の関係性を追及するのがいいのかも知れない
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