柚のかくし味 by 柚 |
現場主義という言葉の重さにわたしが初めて出会ったのは、伊藤正孝さんの追悼集『駆けぬけて〜回想 伊藤正孝』を編集したときである。朝日新聞の記者から朝日ジャーナルの記者に転身、編集長をしていた伊藤さんは、精力的に仕事をしていたのに、癌に冒され、1995年、58歳という若さで亡くなった。
追悼集の巻頭に最後の論が掲載されている。彼はそこに「この戦争に命をかける値打ちがあるか」という自問自答を紛争取材の前に繰り返さない記者はいないだろう」と書いている。そして最後の言葉に「ゲリラ戦は一国の経済にとって死に至る病である。政府軍は戦闘に勝っても戦争に負けてしまう。この現象はもっと各国に学ばれてもよい。その実際を伝えるのも、現場からの報道なのである。」を遺した。
それは今まさにイラクという国の現状である。朝日新聞で初めてアフリカ支局を作り、当時のビアフラの大虐殺を、アフリカの飢餓を伝え続けてくれた人だ。彼がいま生きていたら、なんていうだろう。きっと、「報道記者はまず現場にいけ」というだろう。
この追悼集は優れた本だと今でも思っているが、わずかの部数しか作らなかった。しかし、生前の伊藤さんの書いたものを読んだファンは多いにちがいない。朝日ジャーナルに書きつづけた巻頭言をまとめた『野戦服宣言』は、背広を脱ぎ捨て、つねに戦いの場に自分を置いて、世界各地で起っている弱者つぶしの現状を告発しつづけた伊藤さんらしい言葉に満ちている。
いま、イラクでそして、世界各地で、ジャーナリストは少しでも多くの人に、真実を知らせようとしているのだ。
これを読むと、今のジャーナリズムの報道はこれでいいのだろうかとつい、考えてしまう。
現場主義という言葉の重さにわたしが初めて出会ったのは、伊藤正孝さんの追悼集『駆けぬけて〜回想 伊藤正孝』を編集したときである。朝日新聞の記者から朝日ジャーナルの記者に転身、編集長をしていた伊藤さんは、精力的に仕事をしていたのに、癌に冒され、1995年、58歳という若さで亡くなった。
追悼集の巻頭に最後の論が掲載されている。彼はそこに「この戦争に命をかける値打ちがあるか」という自問自答を紛争取材の前に繰り返さない記者はいないだろう」と書いている。そして最後の言葉に「ゲリラ戦は一国の経済にとって死に至る病である。政府軍は戦闘に勝っても戦争に負けてしまう。この現象はもっと各国に学ばれてもよい。その実際を伝えるのも、現場からの報道なのである。」を遺した。それは今まさにイラクという国の現状である。朝日新聞で初めてアフリカ支局を作り、当時のビアフラの大虐殺を、アフリカの飢餓を伝え続けてくれた人だ。彼がいま生きていたら、なんていうだろう。きっと、「報道記者はまず現場にいけ」というだろう。
この追悼集は優れた本だと今でも思っているが、わずかの部数しか作らなかった。しかし、生前の伊藤さんの書いたものを読んだファンは多いにちがいない。朝日ジャーナルに書きつづけた巻頭言をまとめた『野戦服宣言』は、背広を脱ぎ捨て、つねに戦いの場に自分を置いて、世界各地で起っている弱者つぶしの現状を告発しつづけた伊藤さんらしい言葉に満ちている。
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