柚のかくし味 by 柚


2004-05-08 男と女・・・

亀山早苗さんの本をはじめて読んだのは『低温関係』。これは、心の在りどころについて、少し抽象的に書いたものだった。初めてのその本は、人の心の埋められない寂しさを描いてあったけれど、少し物足りないものを感じたことも確かだった。亀山さんが少し遠慮深げだったと言ってもいいのかも知れない。

男と女…―セックスをめぐる五つの心理(亀山 早苗) だが、そのあと、亀山さんの本が次々にWAVE出版から発刊された。『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『不倫の恋で苦しむ女たち』『「妻とはできない」こと』『「夫とはできない」こと』そして『男と女…─セックスをめぐる五つの心理』と立て続けに出版された。

本のスタイルはすべて同じ。数多くの人に取材して、自分の体験を交えながら、それぞれの悩みを明らかにしていく手法である。そこには、とてもあたたかい気持ちが流れていて、亀山さんは、男と女のことも、同じ人は一人もいないこと。どんな場合もその人の心のもち方であり、こうという答えはひとつもないことなど、丁寧にこまやかなタッチで解き明かしていく。

亀山さんは、男の立場にも女の立場にも立つことができる。男と女のどうしても分かりあえない悩みを持っている人は、読んで見る価値があると思う。

その内容よりも何よりも、わたしが興味を引かれたのは、本の作り方だ。これは、亀山さんと、編集の小田明美さんとの合作だといってもいいだろう。

本は素材もだけど、料理の仕方も大事なのだ。読んでいると、亀山さんの筆がのっていく過程が手にとるようにわかる。これは小田さんの快挙だなあと、思った。


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