化粧女王を探す長い旅 by 大王

2003-12-24 飯盛山縦走ルートの巻

[飯盛山突進隊]

飯盛山

 中学時代に、やり残した夢がありました。

 その夢は、当時の友人の緊迫した電話の声とともに覚えているので、今でも鮮明に記憶しているのです。

 『だめばい。きのうの台風で山が崩れたげな。窓からみてんやい。あちこちで山がくずれとろうが』

 友人である度ぼらや隊長の電話の声をきき、あわてて二階にかけあがって飯盛山の方角を見ると、なるほど、地肌がむきだしになって、崖ができたところが、大変な数あります。

 こりゃあ、山にのぼれんばい。

 われわれは、当時、中学校で『探検隊ごっこ』を流行させていました。流行していたかどうかは、よく覚えていないのですが、近場の山々をまるで前人未到の山であるかのように想定し、かってに探検や、山頂の制服などを行って、休日明けに学級で自慢する、という他愛もない挑戦を繰り返していたのです。

 そうして、当時最大の夢は『学級の誰もしたことがない、叶ケ獄から飯盛山に抜ける縦走ルートを探検することでした。

 まだ、だれも成功した級友はいませんでした。三グループからなる探検隊が、飯盛山から、あるいは叶ケ獄から挑んでいたのですが、当時の山道は、ほとんと消失寸前だったせいもあり、道なき道を歩くありさまで、途中で迷ったり、こわくなったりで全隊引き返して挫折したいのです。

 私たち『度ぼやら食堂突進隊』という、意味不明の名称を持つ、隊員三名は、飯盛山側から三度もアタックしたのに、山頂に立つ道すら見つけることもできずに、失敗し、四度目は、叶ケ獄側から登頂することを決めていたのでした。

登山開始

 決行日は、10月の日曜日。早朝からとしていたのですが、前日の台風襲来で、山はいたるところで崖崩れや鉄砲水の被害を受けて尾根伝いの山道も数カ所で不通となり、通行自体が禁止になったというのです。

 それきり、探検ブームも下火になってしまい、ついに中学時代に叶ケ獄から飯盛山に抜ける縦走ルート制覇の夢はかなわないままにはるかに時間が経過したというわけです。


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