化粧女王を探す長い旅 by 大王

2001-05-24 [思い出]地下5階に部屋が出現

[思い出]通路彷徨の果てに

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 ここは何階なんでしょうか。ずいぶん長い時間を歩きました。周囲には誰もいません。

 こんなところを良く知っていますね。

 天神地下街よりも長大な地下通路が博多駅周辺にあることは、ほとんど知られていません。必要があってできたものなのかどうかもわかりません。

ここから先は

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 ここから先は、どこかの建物の中に入るのですが、地上からこの建物のこの場所にたどりついたことがないのです。

 いつもこのルートでしかたどりつけないし。

 どこなんでしょうね。こんな困難な順路でたどり着いた場所には、何があるんですか。

 椅子が置いてあります。

 椅子ですか?

 椅子です

エレベータもある

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 驚いたことにエレベータが動いていました。湿度がかなり高いので、エレベータが、いつ来るか知れない誰かを待っているかのように動き続ける無駄を考えると、ほんとうに気味が悪くなります。

部屋に着いた

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 エレベータを登る木目さんは、突然無口になりました。

 もう、そういう木目さんの突然の変貌にも慣れていたころでしたので、別に気にはなりませんでしたが、「部屋」につくなり、ほんとうに中央にひとつの椅子があったのにはびっくりしました。

 着きましたよ。

 木目さんが口を開いていました。でも、僕のことは、また眼中にもないようなありさまです。

県庁跡地

画像の説明画像の説明 あり得ないですよ。こんなの。

 木目さんはすっかりくつろいでいます。

 木目さん。椅子は誰のために置いてあるんでしょう。僕らだって、ここに来るのは、最初で最後かもしれないでしょう。

 まあ、ゆっくりしましょう。

 僕は、地下何階なのかわからないけれど、そこに部屋があるだけでも不可解なのに、そこでくつろぐ木目さんが、ますます分からない存在になりました。

まったりします

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 ここにいると、とっても気持ちが落ち着くんです。

 僕は落ち着きませんよ。誰も知らないこの部屋で、そのまま餓死したらどうするんですか。このまま誰にも知られないで、くつろいだまま死んだらどうなるんですか。

 全然落ち着けません。

 コートを脱いだ木目さんは、いよいよくつろいでいます。

思い出を強要される

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 そんなことを言っていないで、思い出を楽しみましょう。木目さんは、僕に、再び思い出を強要しはじめました。

 とても思い出を楽しむ気になりません。さっきは、なったけど、今度はなれませんよ。

 なぜですか。

 だって、ここがどこなのか、地上に戻れるのか、不安でたまりません。こんなところに部屋があるだけでも不審なのに、椅子が2つおいてあるって不自然じゃないですか。

立ったままで

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 あなたも椅子に座ればいいのに。立ったままで緊張しているなんて、その方が不自然ですよ。座らないなら、私のコートを置かせてもらいます。

 そういわれたものの座る気には全然ならなかった、座ったとたんに、僕は椅子に絡め取られて身動きができなくなり、木目さんは、それを見て笑いながら僕を置き去りにするような気がしたからだ。

どこにも行かないでくださいね

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 警戒して座らないんですか。帰り、疲れますよ。カ、エ、リ、ガ、ア、レ、バ、ノ、ハ、ナ、シ、デ、ス、ガ。

 ええーっ。そんな不気味なことを言うのはやめてくださいよ。かんべんしてほしいなあ。それより、早く帰りましょう。地上に戻らないと、このまま地下生活が続いたらどうなりますか。

 帰るのなら、一人でどうぞ、私は、もうしばらくここにいますよ。

 アクロス山からバスに乗って、それからゆきがかりとはいえ、こんな変な場所に来てしまったなんて。


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