化粧女王を探す長い旅 by 大王

2001-05-23 [思い出]地下通路の迷路

[思い出]博多駅地下通路

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 博多駅の地下通路が、どのように広がっていて、どうなっているのか。実際のところ、意外に複雑だということを知ったのは、木目さんが歩く後から、ついているうちに、そう気がついたのです。

 階段を下りたり、あがったりしながら、誰も知らないような通路があちこちにあって、かなりの距離を、地上にでないまま行くことができるのです。

 いつのまに、こんなに発達した通路が縦横に建設されていたんだろう。

迷ったら出れない

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 迷ったら出れませんよ。木目さんは、笑顔で言いながら早足でどんどんいってしまいます。

 そんなに早足で歩かないでください。階段を登るときは特にお願いしますよ。僕は方向音痴なんですよ。こんなところではぐれたら、どうにもなりません。

 正直、上り下りを繰り返すうちに、ここが何階なのかさえ、よくわからなくなってきた。

携帯電話も通じない

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 そうね。遅れないでくださいね。迎えに行くのも至難ですので。携帯電話も通じないし。

 ええーっ!そういえば、アンテナが立っていません。

 地下4階ともなると、電波が届かない場所もありますよ。

 地下4階なんですか。いま歩いているのは。信じられないですね。そんな深いところに、階段がまだまだ下るように伸びているなんて。

誰ともすれ違わなくなった

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 地下6階以上になるのだろうか。どんどん階段を下りてゆくうちに、すれ違う人もいなくなった。

 大きな通路を行っていたときも、ぱらぱらとすれ違うくらいだったが、ここまでくると、もう誰ともすれ違わない。木目さんを見失ったら、永遠に地下階段を下り続けることになるのだろうか。

 木目さん。手をひっぱってくださいよ。はぐれないようにしましょうよ。

 木目さんに頼みました。

 「いやですよ。手をひっぱるなんて、幼児でもないでしょ。自分でついてきてください」

 きっぱりと拒絶されて、僕は、はあはあ。ふうふう、はあはあ。ふうふう。息を切らせながら、どこまでも木目さんの後をついてゆくのでした。


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