化粧女王を探す長い旅 by 大王

2004-01-15 見知らぬ町を訪問をの巻

ここで降りよう

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 タクシーの運転手さんに「どこかてきとうなところでおろしてください」と質問したとき、たいていの運転手さんは「え?」と答えるでしょう。

 まあ、それがあたりまえだから。でも、この日に乗った運転手さんは、違っていました。

 無言で、走った後、わずかに料金が750円のところだったでしょうか。

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 「ここに神社があります。ここにしましょう」 「え?こんなに近くていいんですか」

 「いいよ。正月だし。晴れ着だし。晴れ着で有名な神社ゆくよりも、もう何年も晴れ着のおんなのひととか、来たことがない田舎の小さな神社だから。きっと神々は喜ぶよ。田舎の神様は退屈しているから。せいぜいたのしませてやってくれ」

 運転手は、そういって、田舎の集落の中にある神社の前で、ぼくらを置き去りにしました。

神社に参拝

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 運転手さんの話も理解できるような気がします。正月だというのに、注連縄はあたらしいものの、にぎわっている風はありません。画像の説明

 清水で手と口を清めて、参拝します。参道にもひとかげがありません。いったい人々は家の中でひっそりと息を潜めているのでしょうか。

路地を行く

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 空き家の前に、虫かごがかけてありました。竹のひごで組んだ虫かごです。正月なので、虫はいません。人がいない無人の家の前で、虫かごが冬の日差しを浴びていました。

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 タクシーをつかまえて、再びどこかにゆこうとおもうのですが、路地ばかりで、タクシーが通るような、道に出ません。どこをどう歩いているのか、わけがわからなくなってきたときです。

元の場所に戻る

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 ここって、最初に出発したときの寺ではないですか。 あああ。ほんとうだ。タクシーで出たのにこの場所に戻っている。

画像の説明  ぐるぐる歩き回り、結局最初の寺に戻ってしまいました。親鸞さまがにこやかに笠をかぶって歩いている青銅の像がある境内にもどりました。

 けっきょく、歩き回りお釈迦様の手のひらで遊ぶ孫悟空のように、同じ場所をぐるぐるしていたのでした。


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侃侃諤諤