化粧女王を探す長い旅 by 大王

2004-01-03 あなたの人生を変えたくないですかの巻

新春の一日に人生が激変する

本堂で和服  つまらないなあ。仕事はじめの日に、会社から戻って翌日は休日だったので、本堂でごろごろうたた寝をしていた。

 かなりの時間がたったようにも思えるし、少しの時間だったかもしれない。本堂には、一匹の蠅がいて、顔のうえで、ぶんぶん飛ぶものだから、騒々しくて目が醒めたというわけだ。

 でも、今は冬だし、蠅がいるなんてことがあるのか。地球温暖化とかでいるかもしれないけど。けったいな蠅だなあ。

本堂で和服

 むっくり、起上がると、本堂に人が座っているのにびっくりした。正月の田舎の寺に新年から初詣があるとは思えないけれど、現実に人がいて本堂がたいした華やぎぶりでしたので、やっぱり人がいるんだ。

 目を開けてみると、四人の着物の人たちが座って、寝転んでいる僕をみて、微笑んでいるので、ほんとうに驚いてしまった。

夢か幻か、親鸞様の前で踊る

本堂で踊る

 しんらんさまの歌を子供のころに歌ったことがありますか。しんらんさま。子供の頃は、さま、だけは敬称だとしっていたけど、しんらんさま、がどんな様なのか、さっぱりわからなかったけれど、歌を覚えていて踊っていた記憶があります。

お経をごいっしょに

 四人の着物姿の女性達は、傘寿、福うらら、芋香、はしるん、と呼び合っていて、誰がだれやら区別はつきません。

 そよかぜわたる あさのまど。

 しんらんさまは、にこやかに

 わたしのとなりにいらっしゃる

 歌を歌いながら舞っていルのです。

如来大悲の御徳は、にょらいだいひのおんとくは

お経をごいっしょに

 寝転びから目覚めたものの、ただちに立ち上がってよいものか、まったくどうしようもなくなっていました。

 夢の続きなのでしょうか。お寺の本堂には冬の陽が差し込んでいるのですが、現実とも思えない光景が繰り広げられているからです。

 立ち上がったとたんに、すべては幻のように消失するかもしれません。だから、ゆめならゆめで、このままに寝転んでおこうと、そう考えました。

鐘をついたり

 にょらいだいひの おんとくは みをこにしても ほうずべし

 ししゅちしきの おんとくも ほねをくだきても しゃすべし

 傘寿、福うらら、芋香、はしるん、四人とは別に一人は男性がいるようでした。歌を歌いながら、そこらへんをくるくると舞い踊っています。

 鐘付き堂のほうにでかけたので、僕は幽体離脱しながら、境内に出てゆきました。

菩薩に包囲された輝かしい人生

菩薩包囲網

 男は、ぴい巛さんといって、四人の踊りに囲まれながら中心になって、踊りの結末を形にします。

 そのありさまは、四人の菩薩に囲まれて幸福至極の最中にあるようでした。ああ。なんて、うらやましい光景でしょう。

 菩薩の中心に形成された、天然の美。どこでもみれるものではありません。大自然の不可思議。またとない絶好の機会に、是非とも、御購入されて、決して損はいたしません。ミルは永遠の得、見ざるは、永遠の損であります。

仏様の未来へ

 さあ。あなたは、どうしますか。どうしたいんですか。ナンでも決めて下さい。

  ぴい巛さんは、はしるんと対称を為した姿勢で、僕に決断を迫ります。

 いったい、どうしたいのだろう、決断の時がやってきました。僕は畳の上から身をおこし、これから始まる、冬の不思議な一日の始まりに、決断の時をまっていたのです。

 五人さえあらわれなければ、僕は寂しいままで寝転んでいるだけで、何も変わらない一日を過ごしていたと思うのです。でも、五人は見事に僕の前にあらわれて、決断を迫ってきたのでした。


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