化粧女王を探す長い旅 by 大王

2004-02-04 ありふれた一日の巻

カエル帽元年

画像の説明今から65年ほど前、日本女性は必ずカエル帽をかぶらなくてはならなかった時代があった。

 そんな時代があったこと自体、すっかり忘却の彼方に去ってしまったような現代だが、祖母や祖父に聞いてみると、『そういう時期があったねえ』目を細めて、思い浮かべて微笑んでくれるだろう。

画像の説明

 あれは、タイショウ時代の中ごろだったかねえ。

 その懐かしい時代が、平成16年の2月3日の節分の日をもって、66日間だけ復活することになった。

 1月13日づけの新聞各紙とテレビニュースなどで、大きく報じられたため、承知している人も多いと思うが、いまなお、知らない人もいるというので、あらためて、その実情を報告しておこうとおもう。

次々にカエル帽をかぶる

画像の説明きょうは、そうした全国一斉の行動の中から、特に、福岡県下のある村で行われた、カエル帽子戴冠式典の模様を報告しておきたいと思う。

 なにしろ65年ぶりのできごとなので、日本全国は、この日のために、準備したカエル帽子を娘のために着せようと、父も母も競うように、手縫いのカエル帽子を作っていた。

画像の説明

 その、両親の力作を娘達は誇るように頭に戴いた。その感動的なできごとが、2月3日の節分の日だったわけです。

 街でも、村でも、正午のサイレンとともに、一斉にカエル帽子をかぶる姿があふれました。男性は、正午から3時間。屋外に出ることを禁じられ、お年寄りと乳幼児は、健全院で母親と昼寝をする規則になっていたため、どこを歩いても、カエル帽子をかぶった少女だけが街を歩いていました。

 もちろん、その光景を眺めることができるのは、カエル帽子をかぶった少女たち自身に限られ、たまに屋内にやってきたときだけ、男性や母も、カエル帽に彩られたその姿をおがむことができたのです。


2004-02-05 野山に出現するカエル隊

それはのどかな小春日和

かえる帽子 節分の正午から始まった式典は、日本国内どこでも行われ、それぞれの土地で、かえる帽をかぶった少女たちが町や野原を歩いていたのです。

 新聞やテレビなどの報道は、政府通達によって禁じられ、写真などの撮影もカエル帽をかぶっている本人に限り、記念撮影のみの構図に限り認められていたのです。

 この福岡県の地方で行われた式典の様子は、特に、全国かえる化推進本部が派遣した内閣記録班の撮影によるもので、とても貴重な記録映像となりました。

かえる帽子

 ある一級河川の川土手に集まったカエル少女たちは、思い思いの姿で、カメラの前におさまっています。

 タイショウ時代当時の式典の様子がほとんど現存していないのですが、当時を体験した当事者たちのあいだに、いまだに強烈な記憶とともに思い出すのが、こういうなにげない時間の経過だということは、福岡県所在の留川スルさんの記憶でも明らかです。

タイショウ時代の式典のようす

かえる帽子

 スルさんが思い出すには、「郡役場から特に指名された私は、天子さまからちょうだいしたカエル帽子とカエルショールを身につけて、朝から村の神社にでかけました。春だったと思います。桜の花が咲いていて、それはもう。。。人生でもっとも幸せな時間でしたねえ」

 スルさんは、目を細めながら、遠い昔を振り返っていました。

かえる帽子

 スルさんが体験した至福の時間を、同じように体験できるようになった。平成16年に生きる我々は、なんという幸福な時代をいきているのでしょうか。

 やがて、大人になり、子供を育て、いつしか、カエル帽子をかぶれない時代になったとしても、彼女たちの心の中に、かえる帽子をかぶっていたあの瞬間のことが、永遠に刻印されるのです。

神社と寺院に詣でる

かえる帽子

 彼女達の目的地のひとつは、神社または、寺院。それとも両方でもかまいません。神仏にいきている時間を感謝し、カエル帽をかぶる幸せをかみしめることです。

 タイショウ時代と同じように、65年ぶりに、神社の境内と寺の境内に、かえる帽子をかぶった少女達が集まるのです。

 神仏もまた感激の極みにいるにちがいありません。

 いよいよ週明けからは、参議院での法案審議が始まります。かえる帽子着用義務化法案が、無事に成立するでしょうか。われわれは、街頭で職場で法案の成立を、願わなければなりません。

 小泉首相に抵抗するすべての野党勢力を排除し、全国をカエル化する崇高な使命のもとに、カエル帽子の進撃を、きょう、この瞬間からはじめるのです。

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2004-02-08 戴帽式の記録の巻

一般的なかえる戴帽式

戴帽式なにしろ、65年ぶりのことです。前例は高齢者の記憶の中にしかなく、当時と同じ手順を正確に再現することは、もはや不可能でした。

 しかし、心の中に脈々と受け継がれていた式典の精神というものは、不思議なもので、語り継ぎ、実地に指導をうけなくとも、そのように体が動いてしまうのが不思議な点でもありました。

かえる戴帽式

 寺の境内にやってきた3人は、もっとも後輩にあたる一人の頭に直にカエル帽子をかぶせることで、新たな同志の誕生を祝福することになるのですが、これには、少しばかり手順があるのです。

 何かを語りかけるのですが、それは当事者でないとあかせない秘儀になっていて、必ず口伝されるために、記録することはできません。

街頭に出る前に

かえる戴帽式後輩は、かえる帽子をかぶった瞬間から正式な同志になります。

 そして、なごやかな午後の時間を近くの集落の訪問の時間にあてます。青年壮年の男子は、すべてこの式典の最中は、国土防衛総合大演習に動員されていて、平和台練兵場で演習をしています。

 村に残るのは、工芸や技能に優れ、兵役を免除されている青少年のみです。老人はいますが、ひっそりと奥にいるため、表には出て来ません。

親鸞さま

 どこをどのように唐突に訪問しようが、すべては、彼女達の自由です。どの家にいっても、縁側から室内に入り込み、茶菓の接待を受けることになっています。

 さて、この3人は、どこにでかけるのか、出かける先はわかりません、わかりませんが、訪問をうけた家は、このイチネン。幸福が続くと言われます。大歓迎されるわけです。

 しかし、おおはしゃぎで歓迎してはなりません。訪問を受けた側は、声を出すこともはばかられ、ひそやかに幸福をかみしめるだけなのです。

 ここに紹介する福岡県のある村の場合、訪問を受けたのは、村で木工業を営むある職人の家となりました。もちろん、この瞬間、どこにゆくのか、誰にもわかっていたわけではありませんでした。


2004-02-13 当たり前の光景の巻

かえる帽着用義務化法案成立

画像の説明 今度の国会で、「かえる帽子着用義務化法案」が成立し、めでたく、かえる帽子の義務化が、今年の六月六日から、全国で施行されることになりました。画像の説明 

 国会に出席していたため、ページの更新が遅れて、申し訳ありませんでした。

小学校からの着用が義務付けられるわけですが、今年は義務化を祝福する、全国かえる帽子5000万人大行進が挙行されることになります。

かえる帽子の準備について

画像の説明 施行にそなえて、全国の家庭では、かえる帽子の製作が始まると思います。

 毛糸屋では、緑色系統の在庫が払底しているようですが、心配しないでください。国家が支給する、緑色六号毛糸が、各家庭に、娘さんの人数分だけ配給されることになっています。画像の説明

 国家は、かえる帽子原料の調達に腐心していて、各社製糸工場の生産に規制をかけています。緑色の染色を最重点に指定し、それ以外の色を生産するには、すべて許可制にしています。

 品薄や、値上げなどをうわさする商店があったら、近くの「かえる帽子普及委員」を通じて、国家緑化推進省に通報してください。該当の商店の営業を停止します。

神社に参詣

画像の説明 さて、この年の一日は、今年の法案成立に結びつく、すばらしい実験の一年だったわけですが、村の神社は、どこも、かえる帽子をかぶった少女たちによって参詣の集団でうめつくされました。

画像の説明 比較的人数が少ない、地方の村でも、小さなやしろに三人のカエル少女が参詣してきました。

 参詣のさなかにひらめいた家こそが、栄誉を受ける一年のはじまりになるのです。


2004-02-18 路地を歩いて目的地にの巻

路地を歩けば

画像の説明 やがて訪問の時間がやってきました。目指すのは家具職人の家です。

 かえる帽子を見慣れていない現代からみると、ちょっと不思議な風景かもしれません。しかし、やがて、こういう光景もあたりまえのこととして、人々の記憶に普通にとどまることになるはずです。

画像の説明 この村は路地と路地とで家々がつながっているだめ、細い道をあるくことになります。タイショウ時代の昔もおそらくは、こういう光景があちこちでみることができたとおもいます。

巡り会いのしあわせ

画像の説明 めぐりあいのしあわせを告げる標語がかかっていました。ここで記念撮影をした一行は、特に急ぐ旅ではないのですが、目的地への時間をきにしていたので、記念撮影もそこそこに、家具職人の家を目指します。

画像の説明 日ざしがやわらかな一日でした。みなさんの娘さんも、そのうちに大きくなると、かえる帽子をかぶって町を歩く日がくるはずです。

 娘がいない家は寂しいですが、それはそれ、まあ、みんなが愉快に思っていることでもあるし、男子は練兵場で訓練に励み、女子はかえる帽子をかぶって村々を歩く。

 そういう時代が再び到来する予感がする、平成16年の新春なのでありmした。


2004-02-28 かえる帽子着用義務化

帽子をかぶって町に出よう

画像の説明

 かえる帽子着用義務化が始まる今年の六月以降。このような休息風景がいたるところで見られるはずです。かえる帽子を着用した女性がやってきたばあい、無条件で茶菓の接待をしなければなりません。

画像の説明

 仕事がどんなに忙しくとも、茶菓を出すだけでなく、来客者が納得ゆくまでくつろげるようつとめる義務があるのです。

かえる帽子をかぶれる年齢は、長い人生の間で、ほんのつかの間のことです。結婚してしまえば、かぶる資格は永遠に失われてしまいます。

帽子をかぶって工房に入ろう

画像の説明工房や職人さんの作業場などに、かえる帽子の集団がやってくると、とっても縁起がよいとされています。

 職人は、かえる帽子の娘さんたちがやってくることを心から願い、どこもおいしいお茶を準備しているのが常です。

画像の説明ちょうど、正月の縁起に獅子舞がやってくるのを歓迎するように、主人たちは、十分に準備をして待っています。

約束の土地に来た

画像の説明約束の土地に来た。かえる帽子をかぶっている彼女たちは、そのように言って、職人の玄関をくぐります。一般の民家でもかまわないのですが、作業場がない一般民家には、さまざまなタブーが存在していて、病人は不可。年内に死没者がいるばあいは忌避するなどの決まりがあります。

 職人の作業場だけは、つねにタブーが存在しないのです。

 さあ、みなさん。未婚の娘を持っている人は、今年の6月以降、かえる帽子をかぶせて、村や町にでかけましょう。少子化の昨今ですが、こころおきなく青春の思い出を、刻もうではありませんか。


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