化粧女王を探す長い旅 by 大王

2003-10-04 美術館の白い光りの巻

[走りまくる湯布院]

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 アルテジオという美術館は、音楽をテーマにした美術館なのですが、建築自体がかなり変わっているので、音楽の美術館を楽しむというよりも、その空間を遊んで過ごす時間の楽しさの方が印象に残っています。

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 展示されている絵画や彫刻作品もあるのですけど、館内に入り込む光線の具合とか、美術館なのに、本を手にしてくつろげる場所とか、お茶が飲める場所とかがあり、作品を鑑賞して静粛に!という感じでもないのです。

あちこちで過ごす

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 ノコピイさんは、この美術館に入ってから、まるで、僕の存在がどこにもないかのように、チェンバロの椅子に座ったり、すっかりくつろいだりしています。

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 椅子に座ってぼうっとしているだけではなくて、次の瞬間には、髪をなおしたり、階段の一角にたたずんだりしているのです。

 どうしてしまったんですか?

 サア、ツギニイキマショウ!

 いつも、せかされてばかりだったのですが、ここでは、せかすこともありませんでした。

視界がだんだんぼやけてくる

title4 このころから、疲れから来たのでしょうか。僕の視界がだんだんぼやけてきました。

 あまりにもゆるい光線を浴びていたために、すっかり、ものごとがおぼろげになってしまっています。

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 ものごとが、だんだんに遠くなるということは、無性に焦りをおぼえることです。

 ノコピイさあああん、どこにいるんですか?

 あたしはココニイマスヨ。

 返事はかえってくるのですが、ちっとも近くにいるようにはおもえません。

すべてがぼんやりと

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 ノコピイさんの鮮明な姿をみたのは、この日は、これが最後のような気がします。 天井のほうをむいていて、僕の方ではなかったので、何度も呼び掛けましたが気がつかないようです。

 コマッタモノダ。

どんどん小さくなってゆきます

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 アルテジオには、不思議な空間や場所がたくさんあって、トイレにいたるまで、現実感がない、美術館全体が、夢の中のような空間の連続なのです。

 作品を見なくても、この館内にいるだけで、心地がよい

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 それはよいのですが、ノコピイさんは、ますます僕から遠くにいってしまい、今では姿までもが、おぼろげにかすんでゆくのでした。


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侃侃諤諤