化粧女王を探す長い旅 by 大王

2001-09-10 [池に帰る]

道は続く

画像の説明 いったいどこまで歩くのですか。

 池の周囲は大変に広くて、果てがありませんでした。夏の日差しがかんかんに照り付けているので、頭はくらくら、目はぎらぎらしてしまい、まるで砂漠の中を歩いているようです。

 なんておおげさな。

画像の説明 とにかく、遅れないようについてきてください。

 私は、炎天下にぶっ倒れそうになる、心もとない状態のままで、あとを懸命についてゆこうとしました。

 和服で、草履で歩きにくいのに、よくまあ、すたすた歩けるものですね。中はば感心しながら、ふうふう下をむいたままで、どこにゆくかもわからないままついていったのです。

カンナが咲いている

画像の説明 ああ、カンナだ。カンナが咲いていますよ。ほら、こんなに。

画像の説明 だめですよ。休もうとおもってカンナなんかに注意をゆかせようとしても、歩く速度を緩めたがさいご、最初の場所には戻れなくなるんですよ。

 ええー。立ち止まってしまいましたけど、どうすればいいんですか。

 少し戻れなくなっただけです。いまなら間に合います。

緑に埋もれた池

画像の説明 池は、私たちのすぐそばに水をたたえているはずなのですが、夏草が覆っているので、ちっとも水面がみえません。

画像の説明 池がなければ、ただの緑の荒地のようなのですが、水を感じさせる空気があたりに充満していました。

 遠くからはるばるとやってきた旅の果てのような気持ちになってきました。

 池の道は、どこまで続くのでしょうか。もう。何年も前のことなので、よく覚えていないのですが、その入り口のことだけは、今でもはっきりと思い出すことができるのです。


2001年
9月
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

侃侃諤諤