化粧女王を探す長い旅 by 大王

2000-06-27 廃墟庭園からの脱出

沈黙したバッテンさん

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 バッテンさん。

 バッテンサン?ばってんさん。

 バッテンさんが急に黙り込んでしまいました。欝状態にでも入ったのでしょうか。

 問い掛けても何も答えてくれないので、すっかり困ってしまいました。

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 バッテンさん。どうして黙っているのですか。

 それとも何かを考えているというのですか。いまさら何を考えているのでしょう。いろいろと語りかけたのですが、何も答えてくれません。

 じっと宙を見て物思いにふけっているようなので、これ以上ぢゃまをしても迷惑と考え、何も語りかけず、そのままにすることにしました。

鉛色の空の下で

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 空を見上げると、陰鬱な冬の空でした。

 鉛のように重たく、という表現をよく使う事がありませんか。まさに空は鉛色です。重たく、バッテンさんの上に乗りかかっているような、重量感あふれる空の色なのです。

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 バッテンさんの瞑想は、さらに続いています。

 気にしても仕方がないので、そのまま、バッテンさんの横顔やら、下からの表情とか、正面からの様子とかを、観察するように眺めつづけていましたが、バッテンさんは、こちらの視線をまったく気にすることもありません。

唐突な終わりがやってくる

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 バッテンさんは、このまま、廃屋の庭園で生涯を過ごすつもりかもしれない。

 そう思うと、自分なりの脱出の方法を、バッテンさんに頼らずに、見つけたほうがいい。絶対にそうだ、見つけたほうがいいんだ。ついつい力が入ってきます。

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 指をぐううっと内側にして、ちょうど、拳骨をにぎしりめるように力をこめて、ケツイしたときのことでした。

 さあ、そろそろイキマショウ。ここを出て、さっさとここを出て、イキマショウ。イカナイト。烏賊ナイト。

 唐突にバッテンさんが、発言したので、いささか驚きました。

 イカナイトって、どこに?どこからか出られるというのですね。

 バッテンさんは、自信に満ちた表情で。ありますとも、そんなことは最初から分かっていました。私が入ってきたところですから。


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