化粧女王を探す長い旅 by 大王

2004-05-06 廃物自転車に尋ねるの巻

私の道を

画像の説明私の道を誰もがもっていると思います。自分だけの道を。広い道であったり路地であったり、入り組んだカギ型の行き止まりの道もあれば、舗装道路もある。

ぬかるみのみちもある。

画像の説明りっぱな道もあれば、ぼろぼろの道もある。

 私が人生の道を説くとでも思っているでしょう。きっと、思いはじめたはずです。人生の道を説くために、こんなとてつもないことを言いはじめたと、キット疑っている。

 説教されるかもしれないと、びくびくしているのではないですか。

 謎の漫画家は、こちらの動揺を見すかすように、斬り込んで来たので、びっくりしました。

とりあえずついてゆく私

画像の説明 この先に、ちょっと気になる場所があるのです。どのくらい気になるのか。大きさでいうのは、はばかられるのですが、あえて言うなら、このくらいでしょうか。

  謎の漫画家は、自分の歩幅で示そうとするものですから、どんどんどんどん、どんどんどんどん、どんどんどんどん、大股になってしまい、みるみる後ろ姿が小さくなるではありませんか。

画像の説明いったいどこまで歩くつもりなのか。驚いていると、突然に空き地に入り込み、廃物の自転車を手にして、こう話すのでした。

 自転車は、タイヤのホイールがゆがみ、車輪も破損していましたので、廃物そのものでした。

 謎の漫画家は、自転車の前輪を手にとりつつ、指先に力をこめてゆきました。


2004-05-04 無常の鐘に心をすませば

鐘をつく謎の漫画家

画像の説明鐘をついたことがありますか。寺院の鐘でも、神社の鐘でも、どこの鐘でもかまいません。鐘をついたことが。。。画像の説明一度もない。そうですか。そんな鐘がない人生でどうなるのでしょうか。鐘くらいつきましょうよ。

 寺院の鐘は、とくによいですなあ。

 鐘をつき終わったあとで、謎の漫画家は、ポケットからシガレットを取り出して、一本口にくわえようとしました。 サワラ郡では、禁煙条例の効力が及ばないので、さして騒ぎ立てる人もおりません。境内にたちのぼる、紫煙が周囲の風景にとけこみ、素晴らしい水墨画のようでもありました。

紫煙が立ち上る境内に

画像の説明そもそも、鐘をつくということはですよ。

 謎の漫画家は続きを語ろうとします。鐘をつくことはですね。 どういうことなのでしょう。鐘をつくということはですね。

 どういうことなんですか。画像の説明さあねえ。じつのところ、私にも分からないものなのです。 こうして、午後六時になると、決まって境内の鐘をつく。そういう習慣があるだけでして、さしたる確信もありません。

 謎の漫画家は、きょうサワラ郡にきたばかりです。習慣もなにも、習慣なんてあったのでしょうか。

 ございましたねえ。足下に落ち行く、たばこの灰を眺めながら、謎の漫画家は、こんなことを語りはじめました。

 それは、もちろん、はじめて聞く話でした。


2004-05-03 謎の漫画家あらわるの巻

居住地最大の観光名所を案内

すすむさん 客人が来た場合、みなさんは、どんな観光地に案内するでしょうか。 車で連れてゆくなんてえことは反則です。せっかく遠方からおみえになって、かんじんの地元を案内せずしてどうするのでしょう。

てつろうさん わが福岡県サワラ郡が誇る、名所のひとつに、この寺があります。 きょうは、謎の漫画家をお迎えして、近所で終日を過ごしてみました。謎の漫画家は、スーツ姿なのですが、きょうは祝日です。

 憲法記念日です。明治天皇が定めた欽定憲法が発布されためでたい日です。

親鸞聖人とともに歩む一日

すすむさん明治天皇陛下に敬意を払いつつ、ここは寺でもありますので、背後の親鸞聖人を、顕彰する意味もこめて、とりあえず、直立不動になってみました。

 近ごろは、直立不動になる機会が極端に減っています。憲法改正の動きが、活発な最近です。

すすむさん天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス。この条文は確かにおかしい。

 現代は、陸海軍だけでなく、空軍もあるからです。断じて、天皇は陸海空軍を統帥しなくてはなりません。というわけで、憲法改正には賛成です。

 ついでに普通選挙法も制定してほしいし、婦人参政権も確立してほしいのですが、これはまだ先のことになるでしょう。

 寺で直立不動の姿勢になるのは、気が引き締まるものです。


2004-03-19 ■山の大神4

[山の大神]

 『山の大神』にはじめて相対した時のことは、今でも忘れられません。マンション駐車場から、樹木がしげった場所に来ると、そこに白い鳥居がありました。鳥居には『山の大神』と書いてあります。

マンションが侵略

 探しはじめて7年がたっていました。ずっと気になっていたその場所を、最初から真剣に探していれば、もっと早く知ることができたのでしょうが、それをしないままに、心の中に気掛かりな状態を続けていて、ようやく出会った。という気持ちは、それはそれでうれしいものです。

 白い鳥居をくぐり、広葉樹の樹木が茂っている山林に入りました。参道と思われる石段が続いていました。あまり人がお参りをしている形跡はありません。石段の左側は、マンション建築の際にノリ面を削られたのでしょう。参道のすぐそばは崖のように抉られ、かつては、ひとかたまりの小高い山だったはずの『山の大神』の場所は、周囲の宅地開発によって、極限まで、その神域を削られているようにも見えました。

 彼はどこにいるのか。石段を踏み締めながらのぼってゆきます。20段ほど歩いた時に少し広い場所に出ました。地蔵様か観音様かは分かりませんが、そういう石像が鎮座している平たんな場所に出て、まだまだ参道は上に続いていました。

 マンションに包囲されたこのあたりは、かつてはなだらかな裾野をもつ、小さな山だったに違いありません。山はどこからでものぼることができ、おりることもできた。そういう時代を思わせる周囲の風景でした。しかし、今は、参道は一方向しかなく、この道以外の道順のすべては、マンション建設の際に削られてするどい勾配の斜面になっています。どこにも行けない行き止まりの山になっているのです。

 そうして、なだらかで平たんな場所を過ぎ、さらに急な勾配の石段を数段のぼった時のことです。私は、身動きができなくなりました。石が積み上げられた、『山の大神』と、ばったりと出会ってしまった。そういう予期しない形で、その姿に驚いてしまったのです。

 そこには社殿もなければ、しめ縄もありませんでした。むき出しの石が積み上げられたように、石塔のように造形されたものでもなく、ただただ石が無造作と思える程に積んである、そのままの状態で、固められた彼の姿が、私の視界に入って来たのです。そうして、石積みは、はるばる訪ねて来た私を見とがめて厳しく、詰問するように、強烈な力を降り注いで来たのです。

 福岡市の西の繁華街、西新町からほどない、こんな賑やかな町の一角に、こんな山があり、このような空間があるとは、その瞬間は、ここが、どこなのか、わからなくなるほどの驚きでした。


2004-03-16 ■山の大神3

[山の大神]

 意を決していってみることにしました。周辺の民家で質問してでも、たどりついてみよう。そう決心ました。

 地図を眺めるだけでなく、手帳に写して、歩きはじめました。位置は頭の中にも描くことができますが、場所だけはわかりません。

 このあたりではないかと、わたりをつけた私は、歩き回るうちに不思議な場所が、マンションの背後に隠れていることに気がつきました。

謎の緑地

 宅地開発が進み、このあたりにはマンションがたくさん林立しているのですが、紅葉八幡に向かう切り通しのそばに、ひときわ高層のマンションが建っています。

 この背後に山林みたいな空間があることに気がつきました。しかしマンションの敷地には入れないので、背後の様子を類推するしかありません。地図を照合すると、このマンションの背後の山林の中に、『山の大神』が存在する可能性がもっとも高そうです。

 マンションの敷地に入らずに、背後の山林に入る道がないものか、ぐるぐる歩き回りましたが、そんな通路はありません。

 思いきって、マンションのずっと背後に迂回すると、そこにもマンションがありました。しかし、そのマンションの駐車場から、謎の山林が見通せることに気がつきました。

 あの山林の中に、きっと『山の大神』がいるに違いない。あとは、駐車場を抜けて、山林目指して歩けばよいだけです。

 見つからなかった原因は、その場所の3方向のすべてを、高層マンションが包囲していたからでした。駐車場側以外は、すべてマンションに視界を遮られているので、すっかり外部からは見えない場所に、『山の大神』は鎮座している、というわけでした。


2004-03-15 ■山の大神2

[山の大神]

白い鳥居

 その頃、知人が藤崎にいたので、あのあたり一帯にはよくでかけていたのですが、わざわざ『山の大神』を探すことを思い当たらずにいました。『山の大神』と、知人のアパートとは、まったく結び付けて考えたことはありませんでした。

 知人は、3ヶ月だけ、福岡に居住し、新しい仕事が見つかったので、あっさりマンションを引き払い、引っ越してゆきました。知人もいなくなり、あのあたりに行く用事もなくなったなあ。そう思いながら、西新の裏通りを歩いていたときのことです。

 知人が住んでいたマンションの近くを2年ぶりくらいでたまたま通りかかりました。

 昔ながらの手製の住居表示板があり、立ち停まって見ていると、住居表示の中に、神社の記号が目に入りました。

 紅葉八幡の近くに『山の大神』と表示された場所があったのです。神社の記号がある場所は、ここからすぐ近くです。紅葉八幡とは、少し違う場所に、その神社の位置が記載されています。

 でも、おかしいことに、その場所がどこにあるのか、地図を見てもさっぱり理解できないのです。こんな場所があるんだろうか。地図を見て、心を落ち着けて、その場所がどこかのか考えました。でも、わかりません。ただ、周辺の道路のいくつかは、理解できるので、その道路から類推すれば、必ず『山の大神』の場所を探り当てることができるはずです。

 住宅地図をあらためてみると、高取焼きの窯元の家の近くであるとか。紅葉八幡に抜ける切り通しの沿道であるとか、分かるのですが、実際にそんなところに神社があったのか。そう考えると、どうしても思い当たらないのです。

 知っている道だらけなのに、どうしても『山の大神』の場所を特定することができないのです。


2004-03-14 ■山の大神1

[山の大神]

お守りしていた方々

 山の大神の話をしておきましょう。もともとの話はざっと10年前にさかのぼります。

 そのころ僕は、ある喫茶店に通っていました。そこの御主人が、近所探検を趣味にしているひとで、近隣の神社に詳しい僕に、『どうしても場所がわからん神社があるんやけど』と切り出したのがきっかけです。

 地図には載っているけど、それらしい場所が分からないというのです。

 地図に載っているなら、すぐわかるんじゃない?

 そう甘く見ていたのですが、実際に地図に神社の記号があるのに、その場所がどこか分からないのです。神社の記号は、西新の紅葉八幡の付近にありました。

 地図によっては、『山の神』と記載されているところもあれば、無表示で記号だけの地図もあります。

 でも、御主人は町の地図付き掲示板の中に『山の大神』という表示を見たといいます。単にその神社?の呼称が『山の神』であれば、それほど心は動かなかったかもしれませんが、『山の大神』という、呼称に心を惹かれました。

 紅葉八幡の末社だろうから、きっとあのあたりを探したら、きっと見つかる。そう思い、店を出て、そのまま目標場所を目指したのですが、これが、ほんとうに見つからない。紅葉八幡の境内を重点に探したのが、大きな間違いだと気がついたときには、すっかり日が暮れていました。

 きょうは諦めるしかない。実際にはないのかもしれないし。家に戻って早良群志(大正時代発刊の郷土資料)で所在を調べて出直そう。

 そうするうちに、仕事も忙しくなったせいもあり、次の機会に!そのうちに!と思っているうちにあっというまに半年くらい過ぎてしまいました。


2004-02-28 かえる帽子着用義務化

帽子をかぶって町に出よう

画像の説明

 かえる帽子着用義務化が始まる今年の六月以降。このような休息風景がいたるところで見られるはずです。かえる帽子を着用した女性がやってきたばあい、無条件で茶菓の接待をしなければなりません。

画像の説明

 仕事がどんなに忙しくとも、茶菓を出すだけでなく、来客者が納得ゆくまでくつろげるようつとめる義務があるのです。

かえる帽子をかぶれる年齢は、長い人生の間で、ほんのつかの間のことです。結婚してしまえば、かぶる資格は永遠に失われてしまいます。

帽子をかぶって工房に入ろう

画像の説明工房や職人さんの作業場などに、かえる帽子の集団がやってくると、とっても縁起がよいとされています。

 職人は、かえる帽子の娘さんたちがやってくることを心から願い、どこもおいしいお茶を準備しているのが常です。

画像の説明ちょうど、正月の縁起に獅子舞がやってくるのを歓迎するように、主人たちは、十分に準備をして待っています。

約束の土地に来た

画像の説明約束の土地に来た。かえる帽子をかぶっている彼女たちは、そのように言って、職人の玄関をくぐります。一般の民家でもかまわないのですが、作業場がない一般民家には、さまざまなタブーが存在していて、病人は不可。年内に死没者がいるばあいは忌避するなどの決まりがあります。

 職人の作業場だけは、つねにタブーが存在しないのです。

 さあ、みなさん。未婚の娘を持っている人は、今年の6月以降、かえる帽子をかぶせて、村や町にでかけましょう。少子化の昨今ですが、こころおきなく青春の思い出を、刻もうではありませんか。


2004-02-18 路地を歩いて目的地にの巻

路地を歩けば

画像の説明 やがて訪問の時間がやってきました。目指すのは家具職人の家です。

 かえる帽子を見慣れていない現代からみると、ちょっと不思議な風景かもしれません。しかし、やがて、こういう光景もあたりまえのこととして、人々の記憶に普通にとどまることになるはずです。

画像の説明 この村は路地と路地とで家々がつながっているだめ、細い道をあるくことになります。タイショウ時代の昔もおそらくは、こういう光景があちこちでみることができたとおもいます。

巡り会いのしあわせ

画像の説明 めぐりあいのしあわせを告げる標語がかかっていました。ここで記念撮影をした一行は、特に急ぐ旅ではないのですが、目的地への時間をきにしていたので、記念撮影もそこそこに、家具職人の家を目指します。

画像の説明 日ざしがやわらかな一日でした。みなさんの娘さんも、そのうちに大きくなると、かえる帽子をかぶって町を歩く日がくるはずです。

 娘がいない家は寂しいですが、それはそれ、まあ、みんなが愉快に思っていることでもあるし、男子は練兵場で訓練に励み、女子はかえる帽子をかぶって村々を歩く。

 そういう時代が再び到来する予感がする、平成16年の新春なのでありmした。


2004-02-13 当たり前の光景の巻

かえる帽着用義務化法案成立

画像の説明 今度の国会で、「かえる帽子着用義務化法案」が成立し、めでたく、かえる帽子の義務化が、今年の六月六日から、全国で施行されることになりました。画像の説明 

 国会に出席していたため、ページの更新が遅れて、申し訳ありませんでした。

小学校からの着用が義務付けられるわけですが、今年は義務化を祝福する、全国かえる帽子5000万人大行進が挙行されることになります。

かえる帽子の準備について

画像の説明 施行にそなえて、全国の家庭では、かえる帽子の製作が始まると思います。

 毛糸屋では、緑色系統の在庫が払底しているようですが、心配しないでください。国家が支給する、緑色六号毛糸が、各家庭に、娘さんの人数分だけ配給されることになっています。画像の説明

 国家は、かえる帽子原料の調達に腐心していて、各社製糸工場の生産に規制をかけています。緑色の染色を最重点に指定し、それ以外の色を生産するには、すべて許可制にしています。

 品薄や、値上げなどをうわさする商店があったら、近くの「かえる帽子普及委員」を通じて、国家緑化推進省に通報してください。該当の商店の営業を停止します。

神社に参詣

画像の説明 さて、この年の一日は、今年の法案成立に結びつく、すばらしい実験の一年だったわけですが、村の神社は、どこも、かえる帽子をかぶった少女たちによって参詣の集団でうめつくされました。

画像の説明 比較的人数が少ない、地方の村でも、小さなやしろに三人のカエル少女が参詣してきました。

 参詣のさなかにひらめいた家こそが、栄誉を受ける一年のはじまりになるのです。


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侃侃諤諤