化粧女王を探す長い旅 by 大王 |
鐘をついたことがありますか。寺院の鐘でも、神社の鐘でも、どこの鐘でもかまいません。鐘をついたことが。。。一度もない。そうですか。そんな鐘がない人生でどうなるのでしょうか。鐘くらいつきましょうよ。
寺院の鐘は、とくによいですなあ。
鐘をつき終わったあとで、謎の漫画家は、ポケットからシガレットを取り出して、一本口にくわえようとしました。 サワラ郡では、禁煙条例の効力が及ばないので、さして騒ぎ立てる人もおりません。境内にたちのぼる、紫煙が周囲の風景にとけこみ、素晴らしい水墨画のようでもありました。
私の道を誰もがもっていると思います。自分だけの道を。広い道であったり路地であったり、入り組んだカギ型の行き止まりの道もあれば、舗装道路もある。
ぬかるみのみちもある。
私が人生の道を説くとでも思っているでしょう。きっと、思いはじめたはずです。人生の道を説くために、こんなとてつもないことを言いはじめたと、キット疑っている。
説教されるかもしれないと、びくびくしているのではないですか。
謎の漫画家は、こちらの動揺を見すかすように、斬り込んで来たので、びっくりしました。
この先に、ちょっと気になる場所があるのです。どのくらい気になるのか。大きさでいうのは、はばかられるのですが、あえて言うなら、このくらいでしょうか。
謎の漫画家は、自分の歩幅で示そうとするものですから、どんどんどんどん、どんどんどんどん、どんどんどんどん、大股になってしまい、みるみる後ろ姿が小さくなるではありませんか。
いったいどこまで歩くつもりなのか。驚いていると、突然に空き地に入り込み、廃物の自転車を手にして、こう話すのでした。
自転車は、タイヤのホイールがゆがみ、車輪も破損していましたので、廃物そのものでした。
謎の漫画家は、自転車の前輪を手にとりつつ、指先に力をこめてゆきました。
路地をどこまでもゆくと、地蔵堂に出会いました。 路地は、どこまでもどこまでも、続いたのですが、やがては路地が尽きるときもあるでしょう。唐突に広い道路にでてしまい、拍子抜けすることもあります。ところが、この日は違いました。行けども行けども路地が続いていて、まったく尽きる様子がありません。いったいどこまで続くのか そうおもいながら歩いていると地蔵堂にゆきあたりました。
地蔵堂を発見したものの、謎の漫画家は、物思いにふけるそぶりをしながら、広場にたたずんで花をながめるふうでした。
可憐な花には、やはり誰がなんといおうと、スーツ姿の男しか、断じて似合わないのだ!! そう主張するかのように、花の前に座り込んでいたのでした。
地蔵堂ですな。謎の漫画家は、ひとりごとのようにつぶやきました。かたわらに私がいることをすっかり失念しているようなのです。
地蔵堂は昔からあったのだろうか。 同じく誰にカタルでもなく、独り言を続けています。
昔、この場所には両方に民家が建っていて、その間を縫うように狭い路地がはしっていたので、なかなか地蔵堂が表からは見えにくかったのです。ところが、民家がなくなってしまい。今は表の路地から丸見えになっていたために、謎の漫画家が発見するところとなったのでした。
地蔵堂の発見。それが、これほどまでに素晴らしい人生の幕開けになろうとは、このときは2人とも思ってもいなかったのでした。
地蔵堂は近所の人が大切にお参りしているようでした。いったい誰が何のためにいつごろ建立したのか、見当もつきませんが、手入れが行き届き、信仰の心がこちらにも伝わって来ます。
小さな地蔵が3体ほど並んでします。サワラ郡の各地に地蔵信仰はおおいのですが、きちんどお堂がたっているれいはあまりまりません。
こうしていると、旅の按摩をしていた時代をなつかしく思い出します。手に職がある、われわれ謎の漫画家にとって、漫画家だけでなく、旅の按摩もできるというもうひとつの職があるということは、とても自由気侭なことなのです。
旅の按摩になり、全国各地を水戸黄門様のように巡っていたころのことです。
何しろ旅の按摩なので、きょうはあの町、きょうはこの町を渡り歩いているので、客はみんな初対面のまま、常連にもならずに去ってゆきます。
按摩をして、そう一晩に2人もすれば、あすの旅の心配はなくなるという商売です。
私は、その旅の按摩をしているときに、とんでもない体験をいくつかしています。あすからは、そのエピソードのいくつかを披瀝したいと思います。
花の名を知らないので、恐縮なのですが、路地のそこここに、路傍の花というべき花が咲き乱れておりまして、それはそれ、感動するのでございます。
近頃、思うのですが、こういう花が咲いているところを、テレビや新聞の写真や映像。そんなものをみていますと、必ず、見つめている人物が若い女性だったりいたします。
これは、もう、いけないと思うのですね。まったくいけません。花をめでるのは、若い女性ではありません。若い女性などというのは、生きた花をめでるのでなく、切断された花束であったり、人造の花であったり、花を象った宝石であったりいたします。
花をめでるのは、なんといってもおじさんです。おじさんに勝るものはないのです。
ああー美しい花だなあ。こうして私のために咲いていてくださる。こんな有り難いことはありません。
有り難い!そういう気持ちを抱くことがないモデルをですよ。こう、傍らにはべらせておいてですよ。
テレビや新聞の被写体になって、自分も花なら、花は花、、ってえええないい加減な気持ちをして、そんないい加減でホウドウしてもらってはこまる。 だから、こうして神社にきて、地べたにすわり、抗議の座りをしてゆくことにしました。
賛同する人々は、ただちに梅雨の合間の曇りの時間になったら、ここ、お宝神社にきてください。 私と同じく、気持ちを同じくスルものは、敢然として、決起しようではありませんか。
こうして参道に謙虚な気持ちで座りますと、過ぎた日々のいろいろなできごとが、思い起こされてくることでござんすねえ
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