書籍

『博多湾に霧の出る日は、』 田島安江

『詩集 博多湾に霧の出る日は、』
田島安江

A5判変形、並製、112ページ
定価:本体1,905円+税
ISBN4-9980675-9-1 C0092
 

塩味にはいつも狂気の味がする
博多の街の空気にも
わたしのなかにも
ほんのりとした
潮の香りが含まれている
そしてなぜか
博多湾に霧が出ると
わたしには
人より多めの塩分が含まれてしまうと
男は言う
ピリッとした塩味が効いている
と言えば聞こえはいいが
実は
凶器を隠しもっているのではないか
と疑っているらしい

「博多湾に霧が出る日は」より



【著者プロフィール】
田島 安江(たじま・やすえ)
1945年大分県生まれ。
所属詩誌 「侃侃」
既刊詩集 『金ピカの鍋で雲を煮る』(花神社・1985年)
『水の家』(書肆侃侃房・1992年)