書籍

『 詩集 クロノスとカイロス』 河野妙子

『詩集 クロノスとカイロス』
河野妙子


A5判 上製 104ページ
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-377-5 C0092

装画・挿画 松永安正

 

表題詩
 朝          
                          
ポンとボタンに触れる
「午前六時です」と電波時計 目が覚める 
いやまだ眠りの続きかもしれない

いきなり「命なりけり」と言葉があらわれる
英文学者の名だ 彼の随筆の表題だ 六十年前のだ
いや 西行法師だ 旅だ 小夜の中山をめぐり
つづいて「花のもとにて」が夢のあとを追っている

「午前七時です」あたりはもう明るい
身をおこし深呼吸する おおわたしは生きている
生かされている 不思議な感覚だ「沈黙」である
沈黙は海であり ことばの海でもある

記憶の森から歌がおくられてくる 「海潮音」だ
英国詩人ブラウニングのピッパの歌〈春のあした〉だ
「神 そらにしろしめす すべて世はこともなし」
「朝は七時」

わたしはなにをする
クロノスとカイロスが微笑んでいる
今日のプロジェは
2017.5

 

■著者略歴
河野妙子(こうの・たえこ)
1937年(昭和12年)中国・大連市で生まれる。
2007年(平成19年1月)『蛾』河野妙子詩集 第一集(ALMÉEの会)
2007年(平成19年9月)『なんでもない一日』河野妙子詩集 第二集(ALMÉEの会)

小九州詩人会誌(Bragi/ブラギ)
福岡文化連盟
福岡県詩人会
日本現代詩人会

 

■画家略歴
松永安正(まつなが・やすまさ)
1951年福岡県出身
1971年武蔵野美術短期大学卒
1978?1985年スペイン留学    
1979年バルセロナ大学美術学部編入
1981年マッサナ美術学校銅版画科卒
1984年ジョッジャ美術学校卒

アトリエ Art Gallery and Atelier Gaviota