『絶体絶命文芸時評』
佐々木敦
四六判、並製、336ページ
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-415-4 C0095
装幀 成原亜美
カバー作品 小山内梓希
批評から創作へ
映画の人、音楽の人、演劇の人、そして文学の人へ。多面体ゆえに球はどこからでも飛んでくる。しかもいつも真剣勝負だ。長年の批評者から創作者へと切り込んだ彼の時評は、核心を突く。創作の道で迷ったら読んでほしい。
佐々木敦、たぶん最後の文芸時評。
文芸時評をやるにあたっての私の方針は、とにかく愚直に(頑固に?)、なるべく小説を取り上げていこう、ということだった。まずは何を措いても「小説」を評さなくてはならない。文芸誌には文芸誌にしか載らないような、或る種の(この「或る種の」が問題なのだけど)小説が載っている。私はそれをとても興味深く、好ましいことだと考えている。
(著者あとがきより)
2020年9月中旬全国書店にて発売。
【著者プロフィール】
佐々木敦 (ささき・あつし)
1964年名古屋市生まれ。HEADZ主宰。文学ムック「ことばと」編集長。芸術文化の複数の分野で活動。執筆した論考、著書とも多数。広義の文芸評論の著作として『絶対安全文芸批評』『文学拡張マニュアル』『小説家の饒舌』『批評時空間』『シチュエーションズ』『あなたは今、この文章を読んでいる。』『ニッポンの文学』『例外小説論』『筒井康隆入門』『新しい小説のために』『「小説家」の二〇年「小説」の一〇〇〇年』『私は小説である』『これは小説ではない』がある。
2020年8月、過去十数年の単行本未収録批評を集成した『批評王』が刊行された。
【目次】
時評
2015
2016
2017
2018
2019
2020
「あたらしい小説」のために 今村夏子論
私的平成文学クロニクル
文芸評論
批評から創作へ 倉本さおり×佐々木敦
あとがき
書評
まだ見ぬ文学の深い森へ…希代の批評家・佐々木敦が先導する『絶体絶命文芸時評』(ダ・ヴィンチニュース) 評者=土佐有明さん
《冒頭で佐々木氏は「自分の書いたことをたまたま読んだ読者が、まだ知らない世界へ誘われたり、知っているはずの世界の見方が変わってくれたらいいなと素朴に願っている」と述べている。本書が、まだ見ぬ文学の深い森へと分け入る地図のような、未知との遭遇への契機となるような本になることを願うばかりである》
西日本新聞(12月7日) 評者=藤原賢吾さん
《独特の時評は、文字とそれを生み出す文芸誌への深い思い入れによって書き続けられた。(……)帯に「たぶん最後の文芸時評」と銘打たれた本書は、長年主戦場としてきた批評に別れを告げ、創作者としての船出を宣言する記念碑でもある》
週間読書人(1月22日) 評者=藤田 直哉さん
《佐々木は文芸誌という場を維持し、そこでしか生まれないような作品を擁護する。だから、彼はそういう作家たちを積極的に世の中に紹介し、評価していく。その保護者的な使命感に、感じ入るところがあった》