第7回ことばと新人賞の作品募集について
第7回ことばと新人賞 応募要項
2024.10.22
・募集作品
未発表の小説(原稿用紙70~200枚)
・募集開始
2025年5月20日(火)12時(募集上限に到達次第〆切)
・募集上限
130作品(1人1作品のみ)
・応募方法
書肆侃侃房公式オンラインストア購入ページから選考料をお支払いの上、メールにて作品を送付ください。
購入ページの詳細は後日発表いたします。
・選考料
2500円
(応募作品には「ことばと」vol.9発行後、担当した選考委員による選考コメントがつきます。コメントは無記名で「ことばと編集部」よりメールで送付予定です)
・選考委員
江國香織、滝口悠生、豊﨑由美、山下澄人、佐々木敦
・発表誌及び副賞
文学ムック「ことばと」vol.9(2025年11月刊行予定)
受賞作は「ことばと」掲載に加え、単行本化
(出版権は書肆侃侃房に帰属します)
最終候補作は書肆侃侃房公式note(web侃づめ)に掲載
・備考
応募作品は、選考料お支払い後、3日以内にワードまたはテキストファイルにて送付ください。
(期限を過ぎての送付は、受領や返金対応をしかねます)
【選考委員より】
江國香織
言葉を自分の方法で使い尽くすような、他の誰にも書けない小説をお待ちしています。
知らない手ざわりのものにさわりたいです。
滝口悠生
三年ほど選考にかかわってわかった、というか薄々感じていたことが確信に変わった。新人賞の選考において、すでに書かれた小説に似た巧みさやおもしろさは全然評価されず、なんならしばしば評価を下げる要因になる。だからそういうところはもう全部削っちゃおう。削りすぎてなにもなくなったらそこが小説のはじまりだ。
なににも似ていないことは不安で、だけど、だから、不安だけが頼りだ。あなたの創造性のなかの最も不安な部分を不安なまま書いて、送ったらいい。大丈夫。これも三年ほど選考にかかわってわかったが、新人賞は未知の書き手が逃げずに向き合った不安を見落とさず顕彰するための仕組みであり、選考委員の仕事はその不安に寄り添うことだ。
豊﨑由美
小説って何ですか? わたしにはわかりません。というか、小説はどうあってもいいと思っています。
あなたが持っているかもしれない何かしらの「小説っぽさ」というイメージは捨てちゃってください。
とはいえ、視点の扱いなど他者に読んでもらうためのルールはあります。それを破る時は破っていることに自覚的であってください。破ってしまうことの意味と意義を考えてみてください。そんな人が書く小説を、わたしは読んでみたいです。
今回から全候補作に評をつけることになりました。容赦はしません。普段、書評家としてプロの小説家の作品と対峙する時と同じ目で読みます。真面目に読みます。「小説っぽさ」のくびきから放たれた、あなたにしか書けない小説を送ってください。楽しみにしています。
山下澄人
今回からシステムが変わります。有料になりますが、応募された作品を下読みに任せず、選考委員みんなで分け合い全て読みます。窮屈にならずのびのび書いてみてください。わたしはそれを真剣に読みます。
佐々木敦
選考委員の皆さんのお知恵を拝借し、ことばと新人賞は二度目のリニューアル、しかも前代未聞(ではないかもしれないが少なくともほとんど前例や類例がないレギュレーション)の募集形態を取ることになりました。ことばとは創刊以来、さまざまな試みを行ってきましたが、これもまた新たな実験です。
敢えて書きます。普通の、ありきたりの、いい感じの、時流に阿った、がゆえに評価されたりするような作品は要りません。私たち選考委員を、私を、驚かせてください。戦慄させてください。蛮勇でも独りよがりでもKY(死語)でも構わない。挑戦としての小説を心待ちにしています。
【選考委員略歴】
江國香織(えくに・かおり)
1964年東京生まれ、小説家。著書に、『抱擁、あるいはライスには塩を』『雪だるまの雪子ちゃん』『彼女たちの場合は』などがあり、『犬とハモニカ』で川端康成文学賞を受賞している。訳書に『パールストリートのクレイジー女たち』がある。
滝口悠生(たきぐち・ゆうしょう)
1982年東京都生まれ。小説家。2011年「楽器」で新潮新人賞を受けデビュー。2015年『愛と人生』で野間文芸新人賞、2016年『死んでいない者』で芥川賞、2022年『水平線』で織田作之助賞、2023年同作で芸術選奨、「反対方向行き」で川端賞。他の著書に『寝相』『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』『茄子の輝き』『高架線』『長い一日』『ラーメンカレー』など。
豊﨑由美(とよざき・ゆみ)
1961年愛知県生まれの書評家。共著に『文学賞メッタ斬り!』シリーズ(大森望)、『石原慎太郎を読んでみた』(栗原裕一郎)など。単著は『そんなに読んで、どうするの?』『ガタスタ屋の矜持』『まるでダメ男じゃん!「トホホ男子」で読む、百年ちょっとの名作23選』『ニッポンの書評』など。最新刊は対談集『カッコよくなきゃ、ポエムじゃない 萌える現代詩入門』(思潮社)。
山下澄人(やました・すみと)
1966年兵庫県生まれ。作家、劇作家、演出家、俳優 。高校卒業後、富良野塾に入塾し俳優として活動をはじめる。1996年より劇団FICTIONを主宰し作、演出、出演を担当する。2011年より小説を発表。2012年『緑のさる』で第34回野間文芸新人賞、2017年『 しんせかい』で第156回芥川賞を受賞。そのほかの著書に『ギッちょん』『鳥の会議』『壁抜けの谷』『ほしのこ』『小鳥、来る』『月の客』などがある。
佐々木敦(ささき・あつし)
1964年名古屋市生まれ。音楽レーベルHEADZ 主宰。映画美学校言語表現コース「ことばの学校」主任講師。
【これまでの受賞作】
第1回 (佳作)金名サメリ「道ジュネー」、永井太郎「残って拡散する響き」
第2回 大沼恵太「ゾロアスターの子宮」、山縣太一「体操させ、られ。してやられ」
第3回 笛宮ヱリ子「だ」
第4回 福田節郎「銭湯」/(佳作)井口可奈「かにくはなくては」
第5回 池谷和浩「フルトラッキング・プリンセサイザ」/(佳作)藤野「おとむらいに誘われて」
第6回 (佳作)井村日出夫「教室教室」/(佳作)福原悠介「何もない部屋」