新鋭短歌シリーズ50
『サウンドスケープに飛び乗って』
久石ソナ
監修:山田 航
装画:Haる
四六、並製、144ページ
定価:本体1,700円+税
ISBN978-4-86385-446-8 C0092
詩人の舌と、美容師の指と、都市生活者の肌で、
世界は見なれない色へと染まってゆく。
────山田航
【著者プロフィール】
久石ソナ(ひさいし・そな)
1991年 札幌市生まれ
2010年 早稲田短歌会入会
2012年 札幌へ戻り 北海道大学短歌会の創設者のひとりになる
2015年 第一詩集『航海する雪』上梓
2016年 第50回北海道新聞文学賞受賞
2018年 短歌研究新人賞 候補作
2019年 札幌・琴似に美容室「雨とランプ」をオープン
2021年 歌壇賞 次席
同人誌『ネヲ』主宰者、白いひぐま歌会主宰者のひとり
【5首】
海の向こう風の休まる土地からの手振れのような写真が届く
吉田さん来てないけれど元気かな無邪気なくせ毛に悩んでないかな
君は表情をぼかしながら私の記憶にとどまってきっと居心地がいいのだろう
ビル風で罵れよ秋 取り留めのない話題なら持っているんだ
故郷には届かぬ台風この街を通過しのちに夏を知らせる
新鋭短歌シリーズ
今、若い歌人たちは、どこにいるのだろう。どんな歌が詠まれているのだろう。今、実に多くの若者が現代短歌に集まっている。同人誌、学生短歌、さらにはTwitterまで短歌の場は、爆発的に広がっている。文学フリマのブースには、若者が溢れている。そればかりではない。伝統的な短歌結社も動き始めている。現代短歌は実におもしろい。表現の現在がここにある。「新鋭短歌シリーズ」は、今を詠う歌人のエッセンスを届ける。
北海道新聞(4月3日)
《「幼いころからよく、言い間違いをしていた。言い間違うと、あっという間にこれまでの世界が崩壊していく。それが面白かった。短歌でも、その場その場の言い間違い的なものによって、何かが立ち現れることを狙った」 体内リズムも大切にしている。12歳からテナーサックスを吹き、ジュニアジャズスクールでも活躍。「体内にジャズのリズムが根付いている。裏拍や、変拍子です。それを短歌に反映させるから、いびつさを感じる読み手もいるかもしれない」。「口ごもりながら、冗舌に語る」イメージだ。リズムのずれ、意味のずれを包含むしつつ、繊細に作品世界を構築していく》