現代歌人シリーズ11
『雨る』
渡辺松男
四六判変形、並製、176ページ
定価:本体2,100円+税
ISBN978-4-86385-218-1 C0092
装幀 毛利一枝
ああ大地はかくも音なく列をなす蟻を殺してゐる大西日
巨きなものと、極微なものが、
宙に跳ね上がった長いシーソーのように、入れ替わる。
とたんに、大地はくったりと倒れ伏し、
一匹の蟻は神のごとく炎上する。
空に渡辺松男の目玉がしずかに昇っている。
― 村田喜代子
2016年3月中旬全国書店にて発売。
著者プロフィール
渡辺松男(わたなべ・まつお)
1955年5月、群馬県伊勢崎市生まれ。前橋高校を経て東京大学文学部卒。
歌集に『寒気氾濫』『泡宇宙の蛙』『歩く仏像』『けやき少年』『〈空き部屋〉』『自転車の籠の豚』『蝶』『きなげつの魚』。句集に『隕石』。現代歌人協会賞、ながらみ現代短歌賞、寺山修司短歌賞、迢空賞を受賞。「歌林の会」会員。
現代歌人シリーズ
現代短歌とは何か。前衛短歌を継走するニューウェーブからポスト・ニューウェーブ、さらに、まだ名づけられていない世代まで、現代短歌は確かに生き続けている。彼らはいま、何を考え、どこに向かおうとしているのか……。このシリーズは、縁あって出会った現代歌人による「詩歌の未来」のための饗宴である。
現代歌人シリーズホームページ:http://www.shintanka.com/gendai