『岡井隆の忘れもの』
岡井隆
四六判、仮フランス装、並製、392ページ
定価:本体3,000円+税
ISBN:978-4-86385-533-5 C0095
装幀:緒方修一
装画:谷山彩子
斎藤茂吉、森鷗外、正岡子規、与謝野鉄幹・晶子、
種田山頭火、ベンヤミン、多和田葉子、
穂村弘、高橋睦郎、大岡信、北川透、
石原吉郎、荒川洋治、平出隆、蜂飼耳……などの人々に言及。
時代の表現者たちを自在に、
時にやさしく、時に鋭く読み解いていく。
岡井隆の忘れものは、岡井隆の遺言であり、
日本語の美しさへのあらゆる賛美である。
詩の美しさを支えるのは、詩の背後の時代でもあるのだ。
いい詩を、まことにいい詩として解読できたとすれば、その時代がわかったともいえるのである。
―岡井 隆
【章立て】
暗黒救済のメッセージ/美しき時代の詩歌/孤心とうたげ/詩歌句の未来/詩における物語性/啄木の方法
/対談 岡井隆『暮れてゆくバッハ』を読む/人生の贈りもの
コラム6点も収録
2022年8月全国書店にて発売予定。
【著者プロフィール】
岡井 隆(おかい・たかし)
1928年名古屋市生まれ。慶應義塾大学医学部卒。内科医。医学博士。1945年17歳で短歌を始める。翌1946年 「アララギ」入会。1951年現在編集・発行人をつとめる歌誌「未来」創刊に加わり、逝去直前まで編集・発行人をつとめる。1983年歌集『禁忌と好色』により迢空賞受賞。2010年 詩集『注解する者』により高見順賞を受賞。2015年『暮れてゆくバッハ』(書肆侃侃房)。『『赤光』の生誕』など評論集多数。日本藝術院会員。2020年7月10日心不全のため死去。享年92歳。2022年に遺歌集『阿婆世』(砂子屋書房)が刊行される。
書評・掲載情報
毎日新聞(9/8)「詩歌の森から」 短詩の言葉の問いかけ 評者=酒井佐忠さん
《時代と文化に敏感な言葉こそ、過激な歌人を支えていたのだろう》
中日新聞(11/5)「岡井隆さん遺作 相次ぎ刊行」詩歌の行く先意識
《自らの死や詩歌の行く先を意識したり、人生を振り返ったりする内容で、最後まで表現することをやめなかった姿がうかがえる》
熊本日日新聞(3/26)「佐々木幹郎が読む」 評者=佐々木幹郎さん
《数多い岡井隆の著書のなかで、本書はまことに面白い手触りを持っている。〔……〕岡井隆はその人生においてもドラマチックな生涯を送ったが、最後の散文集の成立事情も、まことにドラマチックであった》