書籍

『すべてのひかりのために』井上法子

『すべてのひかりのために』
井上法子

四六判、上製、144ページ
本体2000円+税
ISBN 978-4-86385-651-6 C0092

装幀 毛利一枝

栞 服部真里子 石松佳

 

――歌だけがある
発した〈人〉を離れた〈声〉は、
あわく、きらめき、たゆたいながら、
私でもあなたでもある誰かの心に着床し、
ただ〈歌〉として生きつづける。
小野正嗣(作家)

 

第一歌集『永遠でないほうの火』から8年
ひかりを纏う生の讃歌 無垢な声で紡ぐ、待望の第二歌集

 

《水際はもうこわくない 踏み込んで、おいで すべてのひかりのために》

《さみどりにさやぐさざなみ 風は火を、火は運命をおそれず生きて》

隠れて見えない世界の横顔を火花のように一瞬だけ照らし出す
井上の歌はいわば火花のための火打石なのではないか
――服部真里子

 

《ふりかえれば薔薇の園ごと消えていて、ひかりのなかに立ち尽くす風》

《風は光らずつぶさに生きてしぬために星だった/花だったぼくらは》
 

井上の歌は常に光の明滅を意味する
世界と人はその一瞬一瞬に交わり歌が生まれる
――石松佳


【著者プロフィール】
井上法子(いのうえ・のりこ)
1990年生まれ。福島県いわき市出身。
著書に『永遠でないほうの火』(書肆侃侃房)。