『げんげの花の詩人、菅原克己 』
金井雄二
ISBN978-4-86385-598-4
C0095 ¥2500E
四六判、上製 320ページ
菅原克己を通して詩を発見した。菅原の語は実直でやさしくて強い。
――金井雄二
本書で金井さんは、菅原克己論を書くというよりも、菅原さんを通して、いのちと表現の源に分け入ろうとしている。
そしてそれは、多くの詩人の源に触れることでもある。
――松下育男
(本書あとがきより)
本書は、菅原克己という詩人を知ってもらいたい、詩を読んでもらいたい、と願いながら書いたものである。詩を書きはじめた頃より、菅原の詩を繰り返し読んできた。すでに四十年程にもなる。だからこそ、初心に戻り、もう一度真剣に見つめ直そうという気になった。
この一冊を踏み台にして、もっと多くの人に知られ、読まれ、研究され、菅原の詩のすべてがにわかに活気づいて、元気よく出てくることを願っている。
【著者プロフィール】
金井雄二(かない・ゆうじ)
1959年、神奈川県相模原市生まれ。
既刊詩集に『むかしぼくはきみに長い手紙を書いた』(2020年 思潮社)他、6冊の詩集がある。
散文集、『短編小説をひらく喜び』(2019年 港の人)を刊行、現在、個人詩誌「独合点」発行中。
菅原克己(すがわら・かつみ)
詩人。1911年宮城県亘理町生まれ。私立日本美術学校中退。非合法時代の共産党に加わり、「赤旗」のプリンターとして検挙される。
詩誌「列島」に参加。日本文学学校の講師を務めながら、サークル「P」を主宰。戦前、戦中、戦後と一貫して、自分の生活や労働者に対する励まし、弱者への心温まる詩を書き続けた。どの詩にも普遍的な優しさ、優しさの中の強さ、根源的な人間の生の感情が行き渡っている。詩集に『手』(1951年、木馬社)、『日の底』(1958年、飯塚書店)の他全部で8冊の詩集を刊行。全詩集は『菅原克己全詩集』(2003年、西田書店)、選詩集には思潮社の現代詩文庫『菅原克己詩集』(1972年)、散文集には『遠い城』(1993年、西田書店)、『詩の鉛筆手帖』(1981年、土曜美術社)などがある。1988年、77歳で死去。
書評・掲載情報
図書新聞 12月23日号 23年下半期読者アンケート 評者=井川博年さん
《著者もまた、そうした詩を通じて、菅原の人柄に惹かれ(生前会っていない)、仕事の合間を縫って個人誌に評伝を書き継いだ。このこと自体が菅原の生涯と共通しているように思える。詳細な年表を収めた労作》