『くやしさをバネに チョン・ファシンのめくるめく人生』
チョン・ファシン
四六版 並製 224ページ
定価:本体1300円+税
ISBN978-4-86385-510-6 C0093
装画 杉本さなえ
装幀 成原亜美(成原デザイン事務所)
協力 朴成哲(パク・ソンチョル)
目と口と耳があれば生きてゆける。
日本語は一言もしゃべれず、書くこともままならなかった娘チョン・ファシンは日本で働く朝鮮の青年と結婚し、15歳で日本に渡る。80年に及ぶ日本での過酷な日々を、いつも明るく逞しく不撓不屈の精神で生き抜いた一人の朝鮮人女性の生涯を描いた感動の物語。
長い髪をきりりと結んだ利発そうな若い女性が深々と頭を下げた。
母は若い教師の手を握りながら、嬉し涙をあふれさせる。目の前にいる女性こそ、自分の夢、
教育を受け教師になりたかった自分の姿だと。
母の涙を眺めながら、母が今の時代に生まれていたら、と夢想した。両親や夫への反骨心だけが日本に渡った母を支え、ここまでやってこられたことを思うと、人生にとって何が大事なのかは、人それぞれの気がした。
2022年4月上旬全国書店にて発売予定。
■語り手略歴
鄭花心(チョン・ファシン)日本名・島田花心(しまだ・かしん)
1924年5月27日、全羅南道珍道郡臨准面屈浦里生まれ。
1939年同郷の朴仁哲(パク・インチョル)(日本名・島田仁哲)と結婚、同年2月夫と渡日、山口県防府市に移住。塩田労務者、農業、飯場経営、飴づくりなどしたあとくず鉄屋を開業して成功、のちにはパチンコ店なども経営、財を成す。
2021年5月4日逝去。享年97歳。
書評など
月刊はかた5月号 紹介者:瀬川恭子(書肆侃侃房)
《いつも明るく逞しく不撓不屈の精神で生き抜いた一人の朝鮮人女性の80年に及ぶ日本での格闘の日々を描いた感動の物語》
東洋経済日報(5/13付) 評者:金珉廷
《在日1世女性の生き方に限らず、どう生きていくか、もやもやしている人にたくさんのヒントを与えてくれる》
クレヨンハウス通信6月号 紹介者:田島安江(書肆侃侃房)
《どんなにつらくても決してあきらめず、工夫と知恵で生き抜いた彼女の生き方から学べることは多い》
世界日報(6/12)評者:増子耕一
《「目と耳と口があれば、どこでも生きてゆける」と不撓不屈の精神で、明るくたくましく道を開いていった》
統一日報(6/22)
《目の前に鄭(チョン)さんがいて、まっすぐこちらを見据えながら「あきらめないで」と伝えているかのようだ》