『廃園』
井本元義
装丁・装画 宮島亜紀
四六判/上製/200ページ
定価:本体1500円+税
ISBN978-4-86385-352-2
花の精、花の香、花の色
それは美しく、妖しげに揺れる業火
妖花が悪夢を呼び……退廃の美へ
その時私はあっと声を上げた。荒涼とした風が沸き起こり、丘の上に広がる空の闇が布のように二枚にめくれ、大きくはためいて揺れた。そしてお互いに包みあうように丸まり、私を飲み込もうと覆いかぶさってきた。それは巨大な食虫花の漆黒の花弁だった。
【著者プロフィール】
井本元義(いもと・もとよし)
1943年生まれ 九州大学物理学科卒
詩集『花のストイック』『レ・モ・ノワール』『回帰』
小説『ロッシュ村幻影』
第1回 新潮新人賞佳作 「鉛の冬」
第35回福岡市文学賞 『花のストイック』
第9回文芸思潮まほろば賞 「トッカータとフーガ」
仏政府主催 仏語俳句大会グランプリ