書籍

『カルチャーセンター』松波太郎

『カルチャーセンター』
松波太郎

四六変形、上製、272ページ
定価:本体1,700円+税
ISBN978-4-86385-513-7 C0093
装丁 佐藤亜沙美
装画 藤倉麻子

2022年4月中旬全国書店にて発売。
 

松波太郎はそこにいた。カルチャーセンターで共に過ごしたニシハラくんの未発表小説『万華鏡』が収録され、作家や編集者たちから寄せられたコメントに、松波太郎の説明責任までもが生じてくる文章と空白の連なり……松波太郎は、ニシハラくんに語りかける。「どうかな? これは何だろう? 小説なのかな?」
 

松浦理英子さん推薦!
「小説を書きたいという欲望に憑かれていた若くほろ苦い日々を、哀惜をこめて振り返る松波太郎は本物の作家である」

 

これはすべての作家が通って来た文学的青春への鎮魂の書である。小説とは何かも言えないまま、ただ書きたいという欲望に憑かれていた時代への。       ーー松浦理英子

 

小説のわからなさを、そのわからなさと共に生きていくことを、ひたすらに書いている。この小説を読み終わりたくないと思った。
          ーー柴崎友香

カルチャーセンターは、社会で帰属する場を離れて〈個〉となった人と人が、遠い憧憬を胸に秘めて集う。それが稀に奇跡のように幸福な交流を、この地上にもたらす。
松波さんはその鎮魂と再興のために、この小説を、みんなの力を借りて作り上げた。
(この推薦文わかりにくいですか? 読むうちにほぐれて、あなたを照らす光になるはずです。)
          ーー保坂和志


著者プロフィール
松波太郎(まつなみ・たろう)

1982年三重県生まれ。文學界新人賞、野間文芸新人賞受賞。著書に『よもぎ学園高等学校蹴球部』、『LIFE』、『ホモサピエンスの瞬間』、『月刊「小説」』、『自由小説集』、近著に『本を気持ちよく読めるからだになるための本』。

『カルチャーセンター』では、実在する作家や編集者から寄せられたコメントが、作品にとって欠かせない一部となっています。

下記の方々はその一部です。

ここには「小説」に手向けられた言葉たちが収録されています。

掲載情報

日本経済新聞「目利きが選ぶ3冊」(5/26) 評者=陣野俊史さん
《凝った仕掛けが面白い》

毎日新聞「今週の本棚」(5/28)

《この小説が「商業的」に出版され、世界に残り続けることは一つの希望だ。小説を書きたいという欲動そのものが、小説であることを教えてくれる。》

東京新聞「新刊ピックアップ」(5/30)

《文学の新たな表現技法を開拓した注目作。》

本の雑誌 2022年7月号「新刊めったくたガイド」 評者=高頭佐和子さん

《さまざまな作家たちが生み出した小説と、一緒に生きてきたことの意味を考えさせられた。》

Meets Regional 2022年8月号 評者=笑福亭智丸

《その斬新な構造によって、虚構と思いきや現実、現実と思いきや虚構、という揺さぶられる感覚が面白い。》

集英社オンライン 鴻池留衣×松波太郎~酔いどれ小説家対談~(後編) コメント=鴻池留衣さん

《『カルチャーセンター』は、純文学作家を目指す人たちの入門書となり得ると思っていて。〈中略〉今後、誰かの道標になればいいと思いますね。》

クロワッサン 2022年8月25日号 本を読んで、会いたくなって。2  著者インタビュー

《「本作を書いたら、紙の小説はもうおさらば、正直そのくらいの気持ちで書きました」》

望星 9月号 「新刊紹介」 評者=佐藤康智さん

《他の松波作品にもうかがえる小説観の醍醐味が、どうしても小説として表現せざるを得ない書き手のオブセッション(強迫観念)と響き合い、最大級で伝わってくる。》

図書新聞 2022年9月10日 「口寄せとエクリチュール」評者=池田雄一さん

《文学であることが同時に「祭り」でもあった時代への、つよいノスタルジーの感情が読みとれる》