書籍

『失われたものたちの国で』 深沢レナ

『失われたものたちの国で』
深沢レナ

四六判/並製/144ページ
定価:本体1300円+税 
ISBN978-4-86385-349-2

 

【帯文】
切れば血が出そうな言葉で綴られた
でも 希望の匂いがする本。
(柴田元幸)

 

【本文より】
母さん、と言った時には蓋は閉められていた。私はしまわれてしまった。そこは壊れた冷蔵庫のようで、古い冷気はぬるく、空気はかびていた。ここで私は誰の罪を贖い続けるのだろうか。私は埋葬屋になんかなりたくなかった。でも入り口が閉じられてしまった以上、埋葬屋であることから逃れられやしない。
(「埋葬」より)

 

【著者プロフィール】
◆深沢レナ(ふかざわ・れな)
1990年生まれ。第一詩集『痛くないかもしれません。』(七月堂)。『ヒドゥン・オーサーズ』(惑星と口笛ブックス)、『ガール・イン・ザ・ダーク』(講談社)といったアンソロジーにも参加。