書籍

『現代短歌のニューウェーブとは何か?』(「ねむらない樹」別冊)

短歌ムック「ねむらない樹」別冊
『現代短歌のニューウェーブとは何か?』

A5判、並製、264ページ 
定価:本体1800円+税 
ISBN978-4-86385-390-4 C0492

装幀:水戸部功

現代短歌の重要潮流が、はじめて俯瞰できる一冊。

【目次】

■これがすべての始まりだった

現代短歌のニューウェーブ  荻原裕幸

■時代をひもとく

現代短歌のニューウェーブ 何が変わったか、どこが違うか  小池光×荻原裕幸×加藤治郎×藤原龍一郎

しんしんとひとりひとりで歩く――〈わがまま〉 について  穂村弘

場のニューウェーブ  荻原裕幸×加藤治郎

この冷えの感覚を――解釈共同体の行方  川野里子

ニューウェーブとは何か? 再び。  川野里子

もうニューウェーブはいらない  松村正直

なにと向き合っているのか  小林久美子  

ニューウェーブ、やや回顧的に  大隆弘

■同時代を生きる

文字は動く  栗木京子

短歌のニューウェーブについて  藤原龍一郎

前を向こう  水原紫苑  

「すべての情報がわたし」である世界  井辻朱美    

残らないこと  林あまり    

窓を開く  吉川宏志    

時代の血肉と骨  東直子    

ニューウェーブってなんだ?  紀野恵    

「ごーふるたうん」とインターネットが「ニューウェーブ」の揺りかごだった  早坂類    

みんなのニューウェーブ  千葉聡    

ニューウェーブの外から  佐藤弓生  

現代短歌シンポジウム ニューウェーブ30年  荻原裕幸×加藤治郎×西田政史×穂村弘

現代短歌シンポジウム わたしたちのニューウェーブ  東直子×水原紫苑×江戸雪

■短歌ヴァーサス、歌葉のころ

セルフプロデュースの幕開け  大井学

わちゃわちゃしていた  黒瀬珂瀾 

第4回歌葉新人賞のこと  永井祐

溺れた者がつかんだ藁は  山田航

歌葉、短歌ヴァーサス、そのおわり  石川美南 

三人の時代  田中槐    

短歌ヴァーサス、思い出すこと  しんくわ    

第1回歌葉新人賞と、その前後  中島裕介    

■ ニューウェーブ以降の短歌

ニューウェーブの末っ子  秋月祐一    

短歌の「ニューウェーブ」について  花笠海月    

吉川宏志と暗喩性  染野太朗  

その後の短歌  谷川由里子    

いろんな〈わたし〉、この〈わたし〉  柳本々々    

ほかでもなく  平岡直子    

口語、そして淡い重さ  大森静佳    

共同幻想の崩壊  睦月都  

あの波こえて  寺井龍哉    

ニューウェーブの文体と韻律  阿波野巧也    

わたしたち歴史のこどもです  初谷むい

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ニューウェーブの中心と周縁  加藤治郎    

ニューウェーブ関連年表(荻原裕幸編)

編集後記

2020年2月発売。

書評・掲載情報

「毎日新聞」2020年3月9日
《2018年に開催のシンポジウム「ニューウェーブ30年」(パネリストは荻原裕幸・加藤治郎・西田政史・穂村弘)や同時代の歌人によるシンポジウムや文章などを収録。30年経て「ニューウェーブ」とは何であったのか、今後にどうつないでいくのかを再考する》

「朝日新聞」2020年3月22日 評者=松村正直さん
《現在の文章や座談会だけでなく、こうした古い資料を収めている点がこのムックの良いところだろう。何かの出来事を検証する際には、一番初めの時点に立ち返って見直す必要がある。今回、ニューウェーブ関係の主要な資料が網羅された意味は大きい。最初は明確な文学運動ではなかったニューウェーブが、本人たちの意図を超えた広がりを見せ、後続の世代に影響を与えていった様子がよくわかる。誰にでも開かれた形で資料を残すことの大切さをあらためて感じる一冊だ》