書籍

『夢の旅路』村澤武彦

水の家ブックス
『夢の旅路』
京都駿台東山南寮の物語

村澤武彦

四六判、上製、256ページ
定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-86385-618-9 C0093

装幀 宮島亜紀
 

懐かしき1970年代後半。
かつて京都に実在した予備校寮を舞台に、120年間の時の流れが描かれた甘く切ない青春小説


1903年、京都東山馬町。明治のタバコ王は煉瓦造の新工場に未来への想いを込めて「夢」を秘かに忍ばせた。後に建物は予備校寮となり、全国から集う浪人生の「夢」へ向けた暮らしの場となる。市電廃止の1978年、福岡出身の澤田も東山南寮で新生活を始めた一人だった。

2009年に建物が老朽化に伴い解体されるのを機に急遽各地から集まった同窓生たち。当時の東山南寮での青春の日々、その後の人生や京都の街の変遷が、五十歳を迎えた彼らにより夜通し懐かしく語られる。
驚きの最終章は、パンデミック後の物語。2024年の秋彼岸、東山の古刹・法然院を澤田に縁ある二人の女性が訪れていた。一九七八年に寮生が見た「タバコ王の夢の欠片」を女性は大切そうに抱いていた。


【著者プロフィール】
村澤武彦(むらさわ・たけひこ)
1959年、福岡県出身。循環器専門医、透析専門医、医学博士。佐賀医科大学卒。1991~94年ペンシルベニア大学留学、遺伝子治療の研究に従事。帰国後、大学病院、県立病院勤務を経て、現在開業医。著書に新型コロナに命がけで闘う医療・介護従事者と患者や家族たちを描く小説『クラスター 五輪の夏の墓標』(一粒書房刊)、ともに科学を生き、将来を夢見た人がノーベル生理学・医学賞を受賞した実話を描く小説『カリコ博士と町医者 アメリカ留学青春記~それぞれの旅立ち』(書肆侃侃房刊)がある。