書籍

『ホール』  ピョン・ヘヨン

Woman's Best 8 韓国女性文学シリーズ5
『ホール』 홀
ピョン・ヘヨン 著
カン・バンファ 訳

四六、並製、200ページ
定価:本体1,600円+税
ISBN978-4-86385-343-0 C0097

装画 小林小百合
装幀 宮島亜紀

アメリカの文学賞、シャーリイ・ジャクスン賞2017
韓国の小説家で初の長編部門受賞作

どこで道を踏み誤ったのか……
記憶にないあの日の事故
次第に明かされる真実とは

映画「ミザリー」を彷彿とさせる
息もつかせぬストーリーにひきこまれていく。

 

こんな書き方ができるのかと驚かされた。生臭さを感じるほどリアルに描かれた人間の振る舞いやひとつひとつの言葉が、見事なサスペンスを織り上げる。分岐点はどこだったのか? 事故の原因は何だったのか? 人生に〝穴〟を掘っていたのは誰だったのか? 「わかりあえなさ」という底なしの穴の前で読者も立ち尽くす。

――深緑野分さん

(第2回出版社合同韓国文学フェアPOPより)

 

2018年10月下旬全国書店にて発売。

あらすじ

交通事故により、病院でめざめたオギを待っていたのは、混乱・絶望・諦め……。不安と恐怖の中で、オギはいやおうなく過去を一つひとつ検証していくことになる。それとともに事故へ至る軌跡が少しずつ読者に明かされていくのだが。わずかに残された希望の光が見えたとき、オギは――。

著者プロフィール

ピョン・ヘヨン(片恵英)
1972年ソウル生まれ。ソウル芸術大学文芸創作学科、漢陽大学国文科大学院卒。2000年『ソウル新聞』新春文芸で文壇デビュー。短編集に『アオイガーデン』『飼育場の方へ』『夜の求愛』『夜が過ぎていく』、長編小説に『灰と赤』『西の森に行った』『線の法則』などがある。韓国日報文学賞、李孝石文学賞、今日の若い芸術家賞、東仁文学賞、李箱文学賞、現代文学賞を受賞。2017年シャーリイ・ジャクスン賞長編部門受賞。現在、明知大学文芸創作学科教授。

訳者プロフィール

カン・バンファ(姜芳華)
岡山県倉敷市生まれ。岡山商科大学法経学部法律学科、韓国梨華女子大学通訳翻訳大学院卒、高麗大学文芸創作科博士課程修了。梨華女子大学通訳翻訳大学院、漢陽女子大学日本語通翻訳科、韓国文学翻訳院翻訳アカデミー日本語科、ハンギョレ教育文化センター絵本翻訳講師。韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。訳書にチョン・ユジョン『七年の夜』がある。

 

書評

@niftyニュース(2018年11月20日) 評者=杉江松恋さん

《過去に復讐される男を主人公とした、息詰まるサスペンスである。〔……〕シャーリイ・ジャクソンの名にふさわしい、読んだ者の心にさざ波を立てずにはおかない小説だ。この作家の小説をもっと読みたい。読んで不安になりたい》