『カッコの多い手紙』괄호가 많은 편지
スリーク、イ・ラン 著
吉良佳奈江 訳
B6、並製、224ページ
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-593-9 C0098
装幀 成原亜美(成原デザイン事務所)
装画 クイックオバケ
《手紙には何度も(カッコ)を使いましたね》
ミュージシャンで、フェミニズムの同志。先行き不明のコロナ禍に交わされたイ・ランとスリークふたりの往復書簡。
猫と暮らすこと、妊娠する身体、憂鬱な心の話を分かち合い、ヴィーガニズムや反トランスジェンダー差別を語り合う。私的なことと社会的なこと、共感と対話のあいだを行き来しながら紡がれる優しくゆたかな言葉たちは、あたらしい距離を測りつづけている。
2023年10月上旬全国書店にて発売
私のイントロが響かなくてもがっかりしないでください。私はヒップホップ出身なので、パンチラインでガツンと盛り上げますから。
――スリーク
〈スリークに手紙を書かなくちゃ〉と思う時間を集めて、手でつかめる何かを作って見せてあげたいです。(それこそが手紙なのでしょうか!?)
――イ・ラン
【目次より】
「猫と話すことができたなら」
「“ヤバい、妊娠した?”って思うのは私ひとりじゃないみたいですね」
「スリークとどんなふうに付き合えばいいのかまだ悩んでいます」
ほか
◎試し読み公開中!
イ・ランよりスリークへ「“ヤバい、妊娠した?”って思うのは私ひとりじゃないみたいですね」
スリークよりイ・ランへ「もしも私が妊娠したらどうするかパートナーに聞いてみました」
◎イ・ランとスリークの 刊行記念インタビュー動画を公開中!
イ・ラン、スリーク『カッコの多い手紙』 刊行記念インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=zvtD1c_FSEc
【著者プロフィール】
スリーク(Sleeq/슬릭)
京畿道九里市生まれのミュージシャン。本名はキム・リョンファ。アルバムに『COLOSSUS』、『LIFE MINUS F IS LIE』があり、2022年にはシングル『있잖아(あのね)』を発表した。オムニバスや同僚ミュージシャンの作品への参加も多い。2020年にMnetで放送された音楽リアリティショー「グッド・ガール」に“地獄から来たフェミニストラッパー”として登場して話題を集めた。誰も傷つけない歌を作りたいという。元野良猫のットドゥギとインセンイと暮らしている。
イ・ラン(Lang Lee/이랑)
ソウル生まれのアーティスト。イ・ランは本名。アルバムに『ヨンヨンスン』『神様ごっこ』『オオカミが現れた』。『悲しくてかっこいい人』(2018、リトルモア)、『アヒル命名会議』(2020、河出書房新社)、『何卒よろしくお願いいたします』(2022、タバブックス)ほか、多くのエッセイ、小説、書簡集が日本語訳されている。音楽、文学、イラスト、映像などマルチに活躍している。元野良猫のジュンイチと暮らしている。
【訳者プロフィール】
吉良佳奈江(きら・かなえ)
静岡生まれの翻訳家・韓国語講師。翻訳にチョン・ミョングァン「退社」「たべるのがおそい」vol.7(2019、書肆侃侃房)、ソン・アラム『大邱の夜、ソウルの夜』(2022、ころから)、チャン・ガンミョン『きわめて私的な超能力』(2022、早川書房)など。家族と植物と暮らしている。
【目次】
プロローグ
こんなご時勢にお元気ですかと聞くのは失礼でしょうか?
もうひとり、名前が2文字のスリークへ
猫と話すことができたなら
ジュンイチが不快に思うのが〝わたし″だったらどうしよう
ジュンイチとランイへ
〝ヤバい、妊娠した?″って思うのは私ひとりじゃないみたいですね
もしも私が妊娠したらどうするかパートナーに聞いてみました
ランイみたいな物乞いの子がいるかと思って
廃墟が〝夢の家″になるまで
アーティスト〝イ・ラン″が何かを作る過程
いい音楽とは何なのか 何を考えるの、ただ作るだけ♫
ある種の痛みは決して忘れられません
ゆっくりと確実にくずおれつつあります
タトゥーを入れて温泉に行きたいです
タトゥーだらけの両腕で温泉に入る方法♨
健康ではないジュンイチと私がともに生きていく姿を見守ってください
私は今日も勉強しに行きます
この文章、次の文章を書けるだろうか
オープンにして生きる、隠して生きる
スリークとどんなふうに付き合えばいいのかまだ悩んでいます
胃薬(ガビスコン)そのもの
リョンファへ
エピローグ
訳者あとがき
日本の読者の皆さんへ
書評・掲載情報
「母の友」2月号 PICK UP BOOKS
《韓国のアーティストが考える"今"とは? 往復書簡だからこその生々しさから見えてくるものがあった》
社会新報(2024年1月25日号) 評者=大橋由香子さん
《互いの距離を確かめながら、フェミニストとして生きる悲喜こもごもがつづられていく》
週刊読書人(2024年2月23日号) 評者=竹田信弥さん
《何かオチがあるわけでも、正解が導き出されるわけでもない。それでも、読んでよかったな、と幸福な読後感が漂うのは、ふたりの研ぎ澄まされた感覚の友人を得たような気がするからだろうか》
ふぇみん(2024年4月15日号)
《2人の手紙のようでいて、読み手にも宛てられている心地がするから、読めば読むほど心がほぐれて勇気づけられる》
西日本新聞(2024年4月27日号) 評者=丸田みずほさん
《2人がお互いのことを思いながら選んだ優しい言葉は、いつの間にか読者の心にも染みこんでくる》