書籍

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』
著者 アンドリュー・ウィルソン
訳者 柿沼瑛子

A5判、並製、712ページ
定価:本体6,800円+税
ISBN 978-4-86385-654-7 C0098

12月下旬発売予定

残された膨大な日記と手紙、インタビューから 謎のベールに包まれたサスペンスの巨匠の全貌に迫る

生まれながらに背徳と残虐、愛への渇望に苦しむ。「愛される」よりも「愛する」を選んだ孤独の女性作家。生誕100年を迎え、いま明らかにされる苦悩と野心、ゆがんだ愛。母親への愛憎のすべては小説作品の中に埋め込まれた――。

 

ハイスミスが保管していた資料、友人、敵、仲間の思い出、そして強迫観念的な人生の貴重な記録。
ーーFinancial Times紙

力強く、時に美しい伝記であり、1ページたりとも無駄がない。細部の積み重ねにより、20世紀の偉大な作家の忘れがたい肖像を生み出している。
ーーNew Statesman紙

ハイスミスは、彼女のいたずら好きなヒーローと同じように、逸脱した風変わりな人だった。
ーーJ. G. Ballard, Daily Telegraph Summer Reads

 

トルーマン・カポーティが絶賛した才能
20世紀を代表する作家 パトリシア・ハイスミス

代表作
『キャロル』
自らの体験を基に男性作家名で発表したレズビアン小説
『見知らぬ乗客』ヒッチコックによって映画化された長編デビュー作
『太陽がいっぱい』アラン・ドロン主演で知られる名作映画の原作

パトリシア・ハイスミス Patricia Highsmith (1921〜1995)
別名クレア・モーガン。アメリカの女性作家。テキサス州フォートワースに生まれるが、生涯の大半をヨーロッパ大陸で過ごし、最終的にはスイスのロカルノで病死する。父親はジェイ・バーナード・プラングマン、母親はメアリー・コーツ。後に母親がスタンリー・ハイスミスと結婚したことにより、ハイスミス姓となる。最初の長編『見知らぬ乗客』がヒッチコック監督に、第三作目『太陽がいっぱい』がルネ・クレマン監督によって映画化され、作家としての地位を確立する。「不安の詩人」と評された彼女の作風はアメリカよりもむしろヨーロッパで先に受け入れられた。またクレア・モーガン名義で自らの恋愛体験をもとにしたレズビアンロマンス小説『ザ・ブライス・オブ・ソルト』(後に『キャロル』)を発表し、こちらもトッド・ヘインズ監督によって映画化された。

 

【著者プロフィール】
アンドリュー・ウィルソン Andrew Wilson

イギリスのジャーナリスト、小説家、伝記作家。「オブザーバー」、「デイリー・テレグラフ」、「ザ・ガーディアン」といった一流紙で活躍後、ハイスミスの伝記で伝記作家としてデビュー。ハイスミス以外にもハロルド・ロビンズ、シルヴィア・プラス、アレキサンダー・マックイーンなどの伝記を手掛ける。本書『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』は2004年度エドガー・アラン・ポー賞を受賞している。

【訳者プロフィール】
柿沼瑛子(かきぬま・えいこ)

英米文学翻訳家。主訳書『妄想の世界史 10の奇想天外な話』(ビクトリア・シェパード)、『誰?』(アルジス・バドリス)、『Gストリング殺人事件』(ジプシー・ローズ・リー)、『魔術師の帝国』(C・A・スミス、共訳)、『わが愛しのホームズ』(ローズ・ピアシー)、『キャロル』(パトリシア・ハイスミス)、『ヴァンパイア・クロニクルズ』シリーズ/『眠り姫』シリーズ(アン・ライス)など訳書多数。

『パトリシア・ハイスミスの華麗なる人生』とつながる映画

『パトリシア・ハイスミスに恋して』

U-NEXT、prime videoなど動画配信サイトにて配信中!
© 2022 Ensemble Film / Lichtblick Film
配給:ミモザフィルムズ

映画の舞台は、母親との確執から逃れるべく、テキサスからパリへ。レズビアン・ソサエティでの花形となるも、パリとロンドンを行き来し、家まで借りた人妻との恋は破滅。多くのハイスミス関係者のインタビューで構成され、きわめてリアルで忘れがたく、観る人々はハイスミスに惹かれ恋してしまう。「私が小説を書くのは生きられない人生の代わり。許されない人生の代わり」と語ったハイスミス。彼女が残した日記には「私の死を悼む涙はない」とあった――。