『逸脱のフランス文学史 ウリポのプリズムから世界を見る』
塩塚秀一郎
四六判、並製、272ページ
定価:本体1,900円+税
ISBN978-4-86385-613-4 C1098
装幀 加藤賢策(LABORATORIES)
『聖アレクシス伝』『狐物語』からパトリック・モディアノ、アニー・エルノーまで。
新たな角度から提示される、わくわくするフランス文学講義!
レーモン・クノーやジョルジュ・ペレックらによる前衛的な実験文学集団「ウリポ」。
言語に秘められた潜在的可能性を追求した彼らの営為を研究してきた著者が、「ウリポ」の視点からフランス文学史を新たに捉え直す。
古典から現代作品まで25の名作でたどるフランス文学案内。
「私がウリポの作家たちを身近に感じるのは、彼らが深刻さを拒んでいるからです。この深刻さというやつは、フランス文学の風土のいたるところで感じられるもので、ちょっとは自分を皮肉る必要がありそうなときでも消えはしません」(イタロ・カルヴィーノ)
2024年2月全国書店にて発売予定です。
【紹介される作品】
フランソワ・ラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語』
ジャン=ジャック・ルソー『告白』
ドニ・ディドロ『運命論者ジャックとその主人』
スタンダール『パルムの僧院』
オノレ・ド・バルザック『従兄ポンス』
シャルル・ボードレール『悪の華』
ギュスターヴ・フロベール『感情教育』
ギュスローヴ・フロベール『ブヴァールとペキュシェ』
ジュール・ヴェルヌ『神秘の島』
レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』
アンドレ・ジッド『贋金つかい』
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』
アニー・エルノー『戸外の日記』
ほか
【著者プロフィール】
塩塚秀一郎(しおつか・しゅういちろう)
1970年、福岡県北九州市生まれ。専門は近現代フランス文学。 東京大学教養学部(フランスの文化と社会)卒業。同大学院人文 科学研究科修士課程(仏語仏文学専攻)修了。パリ第3大学博士 (文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。著書に 『ジョルジュ・ペレック 制約と実存』『レーモン・クノー 〈与太郎〉的叡智』、訳書にジョルジュ・ペレック『さまざまな空間』『煙滅』、レーモン・クノー『あなたまかせのお話』『リモンの子供たち』(日仏翻訳文学賞受賞)などがある。
書評・掲載情報
図書新聞(2024/4/27) 評者=久保昭博さん
《文学作品との一筋縄ではいかない付き合いをさらけだすこうした語り口が、本書の魅力になっている》
《フランス文学とウリポの思いがけない接点を発見させてくれる》
「本の雑誌」(2024年5月号) 評者=円城塔さん
《本書はそのウリポへの接続を念頭においたフランス文学史であり、十一世紀あたりからの作品が紹介されていくことになる。文学史における鬼子というか、素浪人みたいなウリポを語るという(裏)テーマを置いてそれだけの期間にわたる作品を紹介できるという事実は、それだけでおそるべき積み重ねというべきであろう》
図書新聞(2024/7/27)「2024年上半期読者アンケート」 評者=小倉孝誠さん
《カノン的な作品に新たな光をあてることで、意外な側面が浮き彫りになる。教科書ではないが、結果的に見事なフランス文学史だ》