書籍

『ファットガールをめぐる13の物語』モナ・アワド

『ファットガールをめぐる13の物語』
モナ・アワド
加藤有佳織・日野原慶訳

四六判、並製、286ページ
定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-86385-461-1 C0097 2刷

装幀 成原亜美
装画 牛久保雅美

宇宙はわたしたちに冷たい。理由はわかっている。

人が自分の体を生きることの居心地のわるさを描き出した、注目の作家モナ・アワドのデビュー作。

インディーズ音楽とファッションをこよなく愛す主人公のエリザベス。特別な人生は望んでおらず、ただ普通にしあわせになりたいだけ。

けれど高校でも大学でも、バイトをしても派遣社員となっても、結婚しても離婚しても、太っていても痩せていても、体のサイズへの意識が途絶えることはない。

自分と同じ失敗をさせまいとする母親、友だちのメル、音楽を介してつながったトム、職場の女性たち……。彼らとの関係のなかで、傷つけ、傷つけられ、他者と自分を愛する方法を探してもがく。

 

ロクサーヌ・ゲイ、エイミー・ベンダー、ブライアン・エヴンソン、その他各紙誌で絶賛!!

「女性とその体にとって理不尽すぎるこの社会。

アワドはそれを正しくとらえ、この連作短編を通して鮮烈に描き出している」(ロクサーヌ・ゲイ)

 

「賢くて茶目っ気があって、とり繕うことなくまっすぐな作品。

友情、セックス、誰かの心に寄り添うこと、自分らしく生きること。女子たちの格闘はヒリヒリとして、そのことをアワドはちゃんと語ってくれる。

何もかも受け止めて、素直じゃないけどあたたかい、そんな声で」(エイミー・ベンダー)

 

「素晴らしい仕事だ。失敗も喜びもひっくるめて、人として生きることの意味とはなにか? 

それを痛々しくもありのままに描き出し、答えに近づこうとしている」(ブライアン・エヴンソン)

 

「実にするどいデビュー作。

もがくリジーを繊細かつ冷徹な言葉で描くアワドの作品は、アメリカの女性について考えるための新たな必読本である」(タイム)

 

「正直で痛烈、だからこそ読まれるべきだ。本書は女性が生きることの葛藤をわたしたちに見せつける。

ボディー・イメージも、他者との関係も、そしてあまりにも残酷なこの世界を自分の足で歩いてゆくことそれ自体も」(エル)


2021年5月下旬全国書店にて発売。

 

【著者プロフィール】
モナ・アワド(Mona Awad)

1978年カナダのモントリオール生まれ、ボストン在住。ブラウン大学、エディンバラ大学、デンヴァー大学で創作と英文学を学ぶ。現在はシラキューズ大学で創作を教えている。デビュー作品集『ファットガールをめぐる13の物語』に続くポップでキュートな怪作Bunny(2019年、未邦訳)は、The Ladies of Horror Fictionベスト作品賞受賞。2021年8月に第3作All's Well が刊行予定。
 

【訳者プロフィール】
加藤有佳織(かとう・ゆかり)

慶應義塾大学文学部准教授。アメリカやカナダの文学、世界各地のカッパ(的な存在)に関心がある。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)、翻訳にトミー・オレンジ『ゼアゼア』(五月書房新社、2020年)。

日野原慶(ひのはら・けい)
大東文化大学にてアメリカ文学を教えている。「身体」「自然」「環境」「廃棄」「排泄」などに関心があり、それらにつながる現代のアメリカ小説や、ノンフィクション作品(とくに自然や環境をテーマにしたネイチャーライティングや、病や体をテーマにしたエッセイなど)を研究している。共著に『現代アメリカ文学ポップコーン大盛』(書肆侃侃房、2020年)。

書評情報

京都新聞(6月5日) 評者=宮迫憲彦さん(CAVA BOOKS)

《ときに残酷なこの現代社会の中で自分は自分の体にどう向き合うべきなのか。そんなことを考えさせられる一冊》

週刊朝日(6月8日) 評者=永江朗さん

 《痩せても容姿についての悩みは消えない。痩せたからといって、幸福になれるわけではない。(……)最高のフェミニズム小説だ》

週刊文春(6月10日) 「私の読書日記」 評者=酒井順子さん

《実に刺激的な一冊。(……)ファットガールの生活と心理をかくも詳細に解いた小説は、今までなかったのではないか》

MdN Design Interactive(6月18日)

 《繊細なタッチの描写、気怠げな表情に引き込まれる書籍カバー》 

FIGARO」8月号 評者=山崎まどかさん

《痛みを感じながらも、深く息をして自分を解き放つような瞬間をアワドは描く。ファットガールの身体にささやかな光を灯すように》

朝日新聞(6月30日) 「文芸時評 身体への侮り 視線に苦しめられる女性たち」 評者=鴻巣友季子さん

《“他人の眼差し”とは、自分が自分をどう見ているかの反映でもあるかもしれない》

「SPUR」8月号 「BOOK 今月の本命」

《リジーは、どんな自分になれば幸福なのかと問われ、答えを出せずに戸惑う私たち現代人の自画像なのだと思う》

「GINZA」8月号 評者=鳥澤光さん

《人から向けられる視線はいつまでたっても心地悪い。コミカルにめっぽう真面目に、自分の体を生きていくことを描く連作短篇》

サイゾーウーマン(7月17日)「サイジョの本棚」

《「そもそもなぜやせないといけないと思ってるのか?」と根本に立ち返らせてくれる本》

「ダ・ヴィンチ」9月号 評者=ヒラギノ游ゴさん

《ありのままを受け入れることの難しさ自体と真摯に向き合っている》

「本の雑誌」9月号 評者=藤ふくろうさん

《愛せない体をまとって生きる苦しみが、ポップでユーモアのある口調で語られる》

図書新聞(9月11日) 評者=小川公代さん

 《他人ごととして考えてしまいがちな肥満の問題を自分ごととして認識できるほどに、ここには共感を呼ぶ誠実な語りがある》

「VERY」10月号 評者=柚木麻子さん

《ルッキズムに抗うのに有効な方法は、私たち自身の身体の物語を共有することだと、ファットガールの長い旅は教えてくれるのだ》

「ダ・ヴィンチ」11月号 「この本にひとめ惚れ」

《「人が自分の体を生きることの居心地のわるさ」という帯のコピーに目が留まった》

non-no Web 「街の書店員・花田菜々子のハタチブックセンター」

《自分の体のサイズに悩む主人公エリザベスは普通の幸せが欲しいだけだが、体形がそうさせない。同じコンプレックスを抱える女性たちと関わりつつダイエットに取り組み、次第にやせていくのだが──。》

「bis」22年7月号

《自分を愛する方法を探り、悩み、葛藤する人の姿を痛々しくもリアルに描く》

イベント情報

山崎まどかさん×加藤有佳織さん×日野原慶さんトークイベント

「初邦訳刊行! いま注目の作家「モナ・アワド」ナイト!」

日時:2021年7月3日(土)19:00~21:00

開催方法:本屋B&Bのオンライン配信

http://www.kankanbou.com/news/archives/227

 

磯野真穂さん×加藤有佳織さん×日野原慶さんトークイベント

「自分の体をどう生きるか? 『ファットガールをめぐる13の物語』から考える」

日時:2021年7月9日(金)19:00~20:30

参加方法:代官山 蔦屋書店のオンライン配信

http://www.kankanbou.com/news/archives/228