日本の戦争を報道はどう伝えたか
――戦争が仕組まれ惨劇を残すまで
羽原清雅
四六判、並製、416ページ
定価:1900円+税
ISBN978-4-86385-410-9 C0036
報道という立場から長年心にわだかまっていた「戦争は悪」に鋭く切り込む1冊。
戦争が始まるずっと前からひそかに戦争は準備されていることに、その兆候に、私たちは気づかねばならない。
「戦争は悪」老記者、執念の回想
朝日新聞で政治部長などを務めた老記者が戦前と戦後の体験を綴った。メディアが「収益という足かせ」にとらわれて戦争に傾斜していった実情も率直に描いている。「戦争は悪」という信念に基づく執念の回想記である。
星浩(TBS系「NEWS23」アンカー、元朝日新聞特別編集委員)
戦時下に生まれ、戦後の貧窮のもとに育ち、しかし75年もの 平和を享受した者として、「戦争」というものを考え続けざるを得なかった。キナくさい現状なので、ということだけではない。むしろ、いちどは書いておくべきだ、と思い立った。「戦争」を考えるということは、一人ひとりが生存するうえでの「責任」なのだ、と思う。散漫ながら、多くの角度から綴ってみた。 (著者より)
2020年8月全国書店にて発売。
【目次】
第1章 終戦時の混迷・外地での出来事
第2章 個人としての戦争への思い
第3章 戦争犠牲者を「数」から考える
第4章 戦争は仕組まれる〈上〉
第5章 戦争を仕掛ける大きな過ち
第6章 身近な戦争・他人事の戦争
第7章 ある兵士の二重の不幸
第8章 徴兵制(兵役)拒否を再考する
第9章 戦争遂行、メディアの責任
第10章 世界を動かせなかったヒロシマ・ナガサキの悲劇
第11章 70余年後に尾を引く「戦争」の残滓
第12章 「戦争は悪」を原点に
あとがき
資料
【著者プロフィール】
羽原清雅(はばら・きよまさ)
1938年東京生まれ。早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒。朝日新聞入社後、政治部記者を経て政治部長、西部、東京本社各編集局次長、西部本社編集局長、広報担当、西部本社代表などのあと帝京大学教授。現在新宿区教育委員。著書に『沖縄報告』(共著・朝日新聞社刊)、『結党四十年―日本社会党』(共著・行政問題研究所刊)、『国会』(同所刊)、『茨城昨今』(筑波書林刊)、『日本社会党―盛衰の50年は何だったのか』(朝日新聞調査研究室刊)、「野党の多党化と社会党の動き」(『現代日本政党史録』第3巻所収・第一法規刊)、『政界六〇年―松野頼三』(編纂・文藝春秋刊)、『津和野を生きる―四〇〇年の歴史と人々』(文藝春秋刊)、『「門司港」発展と栄光の軌跡 夢を追った人・街・港』(書肆侃侃房刊)、『今井素牛日記』(編纂・文藝春秋刊)、『落穂拾記―新聞記者の後始末』(オルタ出版室刊)、『津和野人 岸田蒔夫―その転変の生涯』(同出版室刊)論文に『小選挙区制度導入をめぐる政治状況―その決定に「理」は尽くされたか』、『ある編集者の軌跡 中山泰昌』(上・下)、『トカラ・十島村の「格差」と地域の政治』など(いずれも帝京大学文学部社会学科「帝京社会学」所載)がある。
掲載情報
「週刊東洋経済」2020年10月31日
《歴史の曲がり角で発言し続けることが大事なのだろう。戦争は何もいいことがないと知れる労作である》
「信濃毎日新聞」2020年11月21日・「長崎新聞」2020年11月22日
《朝日新聞の政治記者だった著者が、日清・日露から第2次大戦まで、戦争がどう準備されていくのかを検証する。(……)戦争回避のためには、戦争は悪だという原点を徹底させ、その背景を歴史から見ていくべきだと説く》