書籍

『地獄と向きあって44年 カネミ油症、苦闘の記録』 矢野忠義 矢野トヨコ

被害発生から44年の記録

『地獄と向きあって44年 カネミ油症、苦闘の記録』
矢野忠義 矢野トヨコ

四六判、並製、432ページ+口絵カラー16ページ
定価:本体2,000円+税
ISBN978-4-86385-102-3 C0036

被害発生から44年の2012年8月29日、
「カネミ油症被害者救済法」が成立。

1968(昭和43)年、西日本を中心に広がったカネミ油症被害は食用油がダイオキシン類に汚染されていた悲惨極まりない食品公害事件だ。被害は身体の異常にとどまらず、加害企業や行政の驚くべき杜撰で冷徹な対応に被害患者は心も生活もずたずたにされていく。本書は、油症被害の真実を追い求め、国や企業の責任を問い続けた夫婦の壮絶な物語である。悲劇を繰り返さないためにも、決してこの問題から目をそむけてはいけない―― 
※巻末に詳細資料を添付

化学物質の汚染は、カネミ油症にとどまらず、水俣病、森永ヒ素ミルク、毒入りギョウザ、と後を絶たず、人体に入った化学物質は一生にわたり、いや、子や孫の代まで影響を引き起こしかねない。カネミ油症問題を知ることで、今私たちが直面している食品公害の怖さを再認識するという意味でも、ぜひ読んでもらいたい一冊である。

2012年12月中旬全国書店にて発売。

【著者プロフィール】
矢野忠義 (やの・ただよし)
昭和7年香川県生まれ。昭和48年カネミ油症と認定、油症患者グループに参加。昭和50より代表。昭和60年油症福岡訴訟団結成、代表。現在、油症医療恒久救済対策協議会会長。

矢野トヨコ (やの・とよこ)
大正11年愛媛県生まれ。昭和43年カネミ油症と認定、47年から未認定患者の掘り起こし運動に奔走。油症患者グループを組織する。平成19年逝去。著書に『カネミが地獄を連れてきた』。

 

【目次】
まえがき
第一編 カネミが地獄を連れてきた 矢野トヨコ

第二編 続・カネミが地獄を連れてきた 矢野忠義
 第1部 地獄から終着駅へ
  第1章 ついに油症被害者救済法成立
  第2章 カネミ油症事件とは何だったのか
  第3章 矢野トヨコとの出会い 

 第2部 第三の地獄│仮払金返還問題
  第1章 襲いかかってきた仮払金返還問題
  第2章 離島被害者の訴え
  第3章 仮払金返還をめぐる偽善と不審の渦
  第4章 泣く泣く背負った「国の債権」
  第5章 「救済不可能」との闘い
  第6章 「弱者救済」の政治が動き始めた

 第3部 矢野トヨコの死を乗り越えて
  第1章 日弁連の人権救済勧告
  第2章 全被害者組織の結成阻む
  第3章 カネカに疑問の免罪符
  第4章 与党プロジェクトチーム始動
  第5章 油症福岡県連合会の結成へ
  第6章 油症被害者とは誰か
  第7章 油症福岡県連合会の方針
  第8章 油症研究の前線

 第4部 世界に知らせたカネミ油症
  第1章 地獄か修羅か
  第2章 油症認定制度の問題点
  第3章 被害拡大は人の過失から
  第4章 油症患者運動の苦闘
  第5章 被害者、原告団の分裂
  第6章 民事訴訟の動き
  第7章 福岡訴訟団の旗揚げ
  第8章 カネミ倉庫の資産隠し

あとがき

資料編