『エドワード・サイード ある批評家の残響』
中井亜佐子
四六判、並製、208ページ
定価:本体1,700円+税
ISBN978-4-86385-612-7 C0010
装幀 成原亜美
装画 qp
エドワード・サイード没後20年
文学、音楽、パレスチナ問題など分野横断的に論じた批評家、エドワード・サイード。ポストコロニアル批評の先駆者として『オリエンタリズム』などの著作を残した。イスラエルによるガザへの軍事攻撃が激化。いまサイードの著作が読みなおされている。彼にとって、批評とはどのような営為だったのか? 没後20年をむかえた今、その思考の軌跡をたどりつつ、現代社会における批評の意義を問う。
2024年1月全国書店にて発売予定です。
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24年5月30日(木)刊行記念イベント開催決定(中井亜佐子さん×柿木伸之さんトークイベント)
24年2月11日(日)刊行記念イベント開催決定(中井亜佐子さん×河野真太郎さんトークイベント)
【エドワード・サイードとは?】
1935年、エルサレム生まれ。幼少期をカイロで過ごす。ハーヴァード大学で博士号を取得。その後、コロンビア大学で比較文学を教えつつ、パレスチナ解放運動にかかわる。主著『オリエンタリズム』は、人文学の学問領域の再編をうながす画期的な著作。2003年、ニューヨークで逝去、2023年に没後20年を迎えた。
【著者プロフィール】
中井亜佐子(なかい・あさこ)
1966年生まれ。一橋大学大学院言語社会研究科教授。専門は英文学。オクスフォード大学博士課程修了(D.Phil.)。著書に、『日常の読書学――ジョゼフ・コンラッド『闇の奥』を読む』(小鳥遊書房、2023年)、『〈わたしたち〉の到来――英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』(月曜社、2020年)、『他者の自伝――ポストコロニアル文学を読む』(研究社、2007年)など。翻訳に、ウェンディ・ブラウン『いかにして民主主義は失われていくのか――新自由主義の見えざる攻撃』(みすず書房、2017年)など。
書評・掲載情報
図書新聞(2024/3/2)〈世界内戦〉下の文芸時評 第一〇八回 評者=岡和田晃さん
《単にアカデミズムの制度性への対抗というだけではない。爆撃によってテクストはおろか、それを読む身体すらバラバラに吹き飛ばされてしまおうとする状況において、現実と地続きになる「批評」のあり方を――その両義性をふまえたうえで――考察せんとしている》
週刊読書人(2024/3/8)対談=中井亜佐子×河野真太郎「批評とは何か いまサイードを読むこと」
朝日新聞「好書好日」著者インタビュー記事
「エドワード・サイード ある批評家の残響」中井亜佐子さんインタビュー 研究・批評通じパレスチナを発信した生涯
週刊金曜日(2024/3/15)きんようぶんか 評者=長瀬海さん
《権力や、共同体を束ねるシステムに抵抗し、そこから逸脱する批評。著者はそんなサイードの精神を見事に〈現実の中に蘇らせた〉のである》
朝日新聞(2024/3/23)評者=三牧聖子さん「絶望的な状況に言葉で抵抗する」
《サイードのテクストと粘り強く向き合う本書に、言葉による抵抗の一つの実践を見る》
読売新聞(2024/7/13)文=後田ひろえさん「権力に抗ったパレスチナ人の批評家エドワード・サイード…ガザの人道危機で再び注目」
《中井教授は「サイードが当時、どんな思いで執筆していたか、一端を知ることができた。文学テキストを読むことと現実に起きていることの間をつなぐような批評的な姿勢を取り戻すべきとの思いで書いた」と話している》
図書新聞(2024/7/27)「2024年上半期読者アンケート」評者=柿木伸之さん
《『エドワード・サイード ある批評家の残響』は、彼の批評の貴店を浮き彫りにしている点でも貴重である》