書籍

『パンクの系譜学』川上幸之介

『パンクの系譜学』
川上幸之介

四六判、上製、384ページ

定価:本体2,600円+税

ISBN978-4-86385-610-3 C0070

装幀 宇平剛史

 

パンクとは常に問い、それについて行動を起こすことだ━━。音楽だけでなく、アート、思想、運動の側面からも「パンク」の根源に迫る画期的著作。

労働者階級の若者による現状への怒りからイギリスで生まれたとされるパンク。その叫びのルーツには、アナキズムやコミュニズムといった思想、そしてダダから脈打つ前衛芸術史も刻まれていた。

奴隷制からポピュラー音楽の誕生、その後のフォーク、スキッフル、ガレージ、パンクへの道のりに、シチュアシオニト・インターナショナル、キング・モブといった運動が交差し、セックス・ピストルズ以降に現れたOi!、クラス、ポジティブ・フォース、ライオット・ガール、クィアコア、アフロパンク、アジアのパンクシーン、そして橋の下世界音楽祭へとつながっていく。

パンクの抵抗の系譜を辿りつつ、正史の陰に隠れた歴史に光をあてる画期的著作。Punk!展、ゲリラ・ガールズ展ほか、話題の展示のキュレーションを行う研究者による初単著。松村圭一郎さん、毛利嘉孝さん推薦!

 

「日本語でのパンク論の決定版といえる」(増田聡さん/朝日新聞3/28

 

パンクは、虐げられた者たちが世界を変える、反逆の声だった。リズミカルな文章でビートを刻み、150年にわたるパンクの系譜をスケーターのように滑走していく。この壊れかけた世界を生き抜く、すべての人のために。

━━━━松村圭一郎さん(文化人類学者)

 

パンクな研究者のパンクな記述によるパンクの歴史。すべての対抗文化運動はパンクへと通じる。

━━━━毛利嘉孝さん(社会学者)

 

興奮しつつ読んだ。(略)英語圏でのパンクの学術的議論を代表するグリール・マーカス『リップスティック・トレイシーズ』にも匹敵する、日本語でのパンク論の決定版といえる。(略)本書が描き出す「パンクの系譜」は、一つの音楽文化が、耳に聞こえるものを超えた社会的活動たりうることを示している。音楽とは単なる「音」ではない。本書のごとく秀逸な音楽書が提示するのはそのような認識である。

━━━━増田聡さん(朝日新聞3/28)

 

現時点で日本人によるパンク本の決定版。

━━━━高木完さんXより)

 

思想や社会的な位置付けやらその歴史も押さえて「パンクとは何か」ってのを評したもの。パンクと聞いて騒がしい音楽とか派手な服装しか思い浮かばない人が読んだら「そういうことだったのか〜!」と、びっくりする違いないし、パンク通の人にとってもすごくいろんなシーンの背景のことなどが書かれていて面白いと思う。(略)誰も知らないような情報も死ぬほど入ってる。これはすごい。

━━━━松本哉さん(「松本哉の適当な日記」より)

 

「支配と抑圧という概念が存続する限り、「パンクス・ノット・デッド」は常に例証され続けるだろう」

(「おわりに」より)

 

2024年3月全国書店にて発売です。

 

 

 

【目次】

はじめに

第1部 パンクの思想とその文脈

第1章 アートスクール

第2章 共産主義(コミュニズム)

第3章 アナキズム

第2部 パンクの音楽における系譜

第4章 アフリカ系アメリカ人の歴史

第5章 フォーク

第6章 スキッフル

第7章 ガレージ

第8章 パンク

第3部 パンクのアートにおける系譜

第9章 DADA(ダダ)

第10章 レトリスム

第11章 シチュアシオニスト・インターナショナル

第12章 キング・モブ

第4部 セックス・ピストルズ以降

第13章 Oi!

第14章 アナーコ・パンク

第15章 ハードコア・パンク

第16章 ライオット・ガール

第17章 パンクと人種

第18章 パンクとクィア

第5部 アジアのパンクシーン

第19章 インドネシアのパンクシーン

第20章 ミャンマーのパンクシーン

第21章 日本のパンクシーン

おわりに

 

【著者プロフィール】

川上幸之介(かわかみ・こうのすけ)

1979年、山梨県生まれ。専門は現代美術/ポピュラー音楽。ロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズMAファインアート修了。現在、倉敷芸術科学大学准教授。キュレーションに「Bedtime for Democracy」展、「Punk! The Revolution of Everyday Life」展、「ゲリラ・ガールズ展 『F』ワードの再解釈:フェミニズム!」など。

【書評・掲載情報】

朝日新聞(3/28)読書面 ポップスみおつくし 評者=増田聡さん(大阪公立大学教授)
《『パンクの系譜学』(書肆侃侃房)はその背景を壮大なスケールで浮かび上がらせている。私は興奮しつつ読んだ(略)本書が描き出す「パンクの系譜」は、一つの音楽文化が、耳に聞こえるものを超えた社会的活動たりうることを示している。音楽とは単なる「音」ではない。本書のごとく秀逸な音楽書が提示するのはそのような認識である》

朝日新聞(4/13) 好書好日 評者=安田浩一さん(ノンフィクションライター)
《パンクは単なる音源ではなかった、やり場のない怒りと疎外をドライブとした「生き方」でもある。唾を吐き中指を立てるイメージだけではない、パンクの根源が見えてくる。(略)パンクとは実践だ——本書を読み進めながら、あらためて思い知った。》

毎日新聞(4/27) 今週の本棚 評者=永江朗さん
《パンクは思想であり、アートであり、生き方である。そのことをこの本は教えてくれる》
日本経済新聞(4/27)著者インタビュー掲載

月刊「アナキズム」第49号 川上幸之介『パンクの系譜学』自著解題

婦人画報6月号

《思想やアートと手を携えながら、人間性の回復を目指し、社会変革の一旦を担ってきた150年の系譜。アジアのパンクシーンについて書かれているのも貴重》

共同通信(5/12) 書評欄 評者=和田静香さん
《本書で刮目すべき点は人種や性的マイノリティー、自アの圧政などとパンクの関係に迫っていることにある。(略)女性間の格差や、メディアが彼女たちの活動が単なるファッションち貶めた問題も知った。》
西日本新聞(5/18) 書評欄 評者=森元斎さん


中日新聞(9/11) 「げいのうの本」 評者=宮崎正嗣さん
《読み終えた後は街に出てほしい。これまで見えていなかった人とつながり、日常に変化をもたらす活動に出会えるはず》