書籍

『ベルクソン思想の現在』檜垣立哉、平井靖史、平賀裕貴、藤田尚志、米田翼

『ベルクソン思想の現在』
檜垣立哉、平井靖史、平賀裕貴、藤田尚志、米田翼

四六判、並製、272ページ

定価:本体1,800円+税

ISBN 978-4-86385-556-4 C0010

装幀:成原亜美 装画:水谷慶大

 

主要4著作を読み解く白熱の徹底討議!

まったく新しいベルクソン入門誕生

『物質と記憶』などの著作があり、生の思考を独自のかたちでヴィヴィッドに展開した哲学者アンリ・ベルクソン。

2022年は『ベルクソンの哲学』(檜垣立哉、文庫化)、『世界は時間でできている』(平井靖史)、『アンリ・ベルクソンの神秘主義』(平賀裕貴)、『ベルクソン  反時代的哲学』(藤田尚志)、『生ける物質』(米田翼)が次々に刊行されたベルクソン研究にとって画期となる一年だった。この著者たちが集った福岡・天神の「本のあるところ ajiro」の伝説の連続トークイベントをもとに、大幅に増補されここに甦る。

『時間と自由』『物質と記憶』『創造的進化』『道徳と宗教の二源泉』、ベルクソンの主要4著作を徹底的に読み解いていく。加えて、著者全員が参加した座談会「これからのベルクソンをめぐって」も収録。ここから先の道しるべにもなるブックガイドも付した。

20世紀の生の思考が、いままさに炸裂する。前代未聞のベルクソンイヤーを締めくくる一冊。

 

2022年12月全国書店にて発売。
 

★刊行記念フェアの情報はこちら

 

【目次】

はじめに(平井靖史)

序章 ベルクソンに出会う

第1章 『時間と自由』 檜垣立哉×藤田尚志(司会:平井靖史)

第2章 『物質と記憶』 檜垣立哉×平井靖史(司会:藤田尚志)

第3章 『創造的進化』  藤田尚志×米田翼(司会:平井靖史)

第4章 『道徳と宗教の二源泉』 平賀裕貴×藤田尚志(司会:平井靖史)

第5章 これからのベルクソンをめぐって 檜垣立哉×平井靖史×平賀裕貴×藤田尚志×米田翼

付録 ブックガイド

おわりに(藤田尚志)

 

【著者プロフィール】

檜垣立哉(ひがき・たつや)

1964年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。現在、大阪大学大学院人間科学研究科教授。博士(文学)。主な著書に『ベルクソンの哲学 生成する実在の肯定』『バロックの哲学 反- 理性の星座たち』『西田幾多郎の生命哲学』『近代日本思想論 技術・自然・生命』ほか。主な訳書に『ベルクソニズム』(共訳)ほか。

 

平井靖史(ひらい・やすし)

1971年生まれ。武蔵野美術大学油絵科卒、東京都立大学哲学科・同大学院博士課程満期退学。福岡大学人文学部教授。専門は近現代哲学、時間と心の哲学、記憶の形而上学。PBJ(Project Bergson in Japan)代表。著書に『世界は時間でできている ベルクソン時間哲学入門』(青土社、2022年)。編著にBergson's Scientific Metaphysics(Bloomsbury, 2023)。共編著に『ベルクソン『物質と記憶』を再起動する 拡張ベルクソン 主義の諸展望』(書肆心水、2018年)ほか。

 

平賀裕貴(ひらが・ひろたか)

1983年生まれ。専門はフランス文学・哲学。エラスムス・ムンドゥス・プログラム(ユーロフィロソフィー)によりトゥールーズ第二大学大学院に留学。同大学大学院修士課程修了。立教大学大学院博士課程修了。博士(文学)。現在、立教大学兼任講師。著書に『アンリ・ベルクソンの神秘主義』(論創社、2022年)、共訳書にアンリ・ベルクソン『笑い』(ちくま学芸文庫、2016年)がある。

 

藤田尚志(ふじた・ひさし)

1973年生まれ。九州産業大学教授。Ph.D(哲学)。専門は哲学、フランス近現代思想。著書に『ベルクソン  反時代的哲学』(勁草書房、2022年)、共編著に『ベルクソン『物質と記憶』を解剖する』(2016年)、『ベルクソン『物質と記憶』を診断する』(2017年)、『ベルクソン『物質と記憶』を再起動する』(2018年)(いずれも書肆心水)、共著にMécanique et mystique(Olms, 2018)ほか。訳書にアンリ・ベルクソン『時間観念の歴史』(共訳、書肆心水、2019年)、マルセル・ゴーシェ『民主主義と宗教』(共訳、トランスビュー、2010年)ほか。

 

米田翼(よねだ・つばさ)

1988年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科にて博士号を取得(人間科学)。現在、大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター助教。専門はベルクソンを中心とするフランス哲学、19-20 世紀の英・独・仏の生物学の歴史・哲学。著書に『生ける物質 アンリ・ベルクソンと生命個体化の思想』(青土社、2022年)。主な論文に「個体化の哲学における生殖の問題——ヴァイスマン、ベルクソン、シモンドン」『思想』第1141 号(2019年)、「適応と再認——ベルクソンの行動の進化論」『年報人間科学』第42 号(2021年)、共訳書にジルベール・シモンドン『個体化の哲学——形相と情報の概念を手がかりに』などがある。

読売新聞(2/12) 評者=郷原佳以さん

《最先端の解釈に基づくスリリングな討議を展開する。〔……〕ベルクソンの一筋縄ではいかない「反時代的」な精髄と魅力が浮かび上がる》

週刊読書人(3/27) 評者=岡嶋隆佑さん

《全体として、ベルクソン哲学に関心があるすべての読者にとっての最良の道案内という構成になっている》

西日本新聞「記者本」(4/29) 評者=山上武雄さん
《難解とされるベルクソン著書を初学者にも理解しやすいように平易な言葉が連なる》

図書新聞(5/27) 評者=原健一さん

《本書は、現在の日本におけるベルクソン研究が世界的にも稀にみる活況のただなかにあることの傍証になる》
《本書には、哲学の未来が賭けられてもいる》

「フランス哲学・思想研究」28号 評者=荒谷大輔さん 「ベルクソン研究の現在地を確認し、未来を開く対談集」

《本書は単に「一般に開かれたもの」というよりも「未来のベルクソン研究者に向けられた招待状」といった方が適切であるように思われる。ベルクソン研究の現在地を示しながら、これからなされるべき具体的な研究の方向性が様々なかたちで示されている》
《本書が現在の日本のベルクソン研究の現場を伝え、未来のあり方を方向づけるものであることは疑いえない。新しい研究の担い手がここから出てくることを期待したい》