ユニヴェール25
『パーチェム』
水岩瞳
Hitomi Mizuiwa
ISBN 978-4-86385-693-6 C0092
定価:本体2,400円+税
四六版、並製、184ページ
パーチェムは平和のことなり 弥撒曲のフォルティッシモに響くパーチェム
歌集の題名はこの一首から取られた。「ドナ・ノービス・パーチェム」(Dona nobis pacem) は、「われらに平和を与えたまえ」という意味のラテン語で、バッハのロ短調ミサ曲にもこの歌詞があるという。初句と結句の二つの「パーチェム」が響き合い、音が耳にくっきりと残る。平和を祈る思いが込められた美しい一首である。
—吉川宏志《解説 結句の飛躍と、平和(パーチェム)への祈り》
学校のレモン石鹼まだあるか網に吊るされ月照る中に
事故なんかなかったように次々と再稼働するザクロの実たち
聖書読むわたしを褒めし父親の右腕にある比島の弾痕
礎(いしじ)の名なでて呟く「忘れたらかわいそうやさ」琉球木槿
あの戦争はつい最近のことなんです千年の樟の時間にすれば
2025年9月上旬刊行予定です。
【著者プロフィール】
水岩瞳(みずいわ・ひとみ)
名古屋市生まれ
同志社大学文学部卒業
現在 「塔」短歌会所属
有志の「短歌の会」参加
中部日本俳句作家会会員
現代俳句協会会員
「古志」同人
著書 小説『あの夏のニセコから』(健友館)
第一句集『薔薇模様』(ふらんす堂)
第二句集『幾何学模様』(ふらんす堂)
ユニヴェール
新鋭短歌シリーズ、現代歌人シリーズが生まれ、
短歌世界は思いもかけない方向にひろがりをみせている。
そして今、新しいレーベルが生みだされる。
ユニヴェールとは、短歌の壮大な宇宙。
これからもきっと、新しい歌人との出会いが待っているにちがいない。