ユニヴェール24
『夜明けにとどくまで』
一海美根
Mine Ikkai
ISBN978-4-86385-686-8 C0092
定価:本体2,300円+税
四六判変形、並製、184ページ
装画 一海水樹
一海美根第一歌集
本当の自分に帰るため空の深さは問いの深さ
人生の岐路に出会った短歌。10年の歳月に、一海さんは確かめ確かめ心を探りながら言葉を引き寄せて、作歌の手応えを掌中にして来た。
コロナ禍、世界情勢の翳り、易からぬ時代の中で、曇りなき目に社会を見つめる清らかさ。問いの深さに空はさまざまに応じる。詩情がゆるやかに作品を広げ、心の結晶はかがやきをまとい読者に届くことだろう。
―春日いづみ(水甕代表)
吉川宏志
この歌集に通底している、周りは暗いけれども静かに動いているという感覚を、私はとても貴重だと思う。
「わたしは誰とじぶんに問ひて」(栞より)
小島ゆかり
闇の深さを全身で感じながら、ひっそりと見開く一人の姿が見える。
「隣のくらがり」(栞より)
そとがはに居ると思つてゐるうちにぬるりといつかわれもうちがは
変へたいと思ふ社会と変はらないわたしの隙間に降る冬の雨
散らかつた心のままに暮れてゆく八月最後のバスに揺られて
水音にふと振り向けば秋がゐて冷えたる吾をぢつと見てゐる
2025年9月上旬刊行予定です。
【著者プロフィール】
一海美根(いっかい・みね)
京都市生まれ 神戸市在住
2015年 短歌を始める 「水甕」入社
2018年 水甕新人賞
2019年 兵庫短歌賞
2023年 水甕賞
詩集に「飢餓体験」(花神社 1997年)
ユニヴェール
新鋭短歌シリーズ、現代歌人シリーズが生まれ、
短歌世界は思いもかけない方向にひろがりをみせている。
そして今、新しいレーベルが生みだされる。
ユニヴェールとは、短歌の壮大な宇宙。
これからもきっと、新しい歌人との出会いが待っているにちがいない。