- 2011-08-10 (Wed) 12:25
- 総合
セントルイスを出て、同じミズーリー州のハンニバルに来た。あのマーク・トウェインの「故郷」である。
アメリカに着いてほどないころ、宮崎大学時代の恩師の一人から「8月にハンニバルでマーク・トウェインの集まりがあるようだ。知っているかい」とのメールをいただいた。全然知らなかった。ハンニバルにあるマーク・トウェイン・ミュージアムのホームページにアクセスしたところ、8月11日から3日間、セミナーのような集いを今年初めて開催することになったことを知った。すぐに電話を入れて、参加させてもらうことにした。いい時期にアメリカを「さるく」ことにしたものだ。参加費は300ドル。
セントルイスからグレイハウンドバスで2時間余。うれしいのはセミナーが催される会場のラグレインジ大学の学生寮に宿泊させてもらえることだ。1泊15ドル(約1250円)。いつも悪戦苦闘して格安ホテルを探し回っている身には実にありがたい。
バス停で降りて、さあ、どうやってタクシーを呼ぼうかと思っていたら、バス停の近くの事務所の男性が「大学に行くのなら、私が送ってあげる」と言う。初老のロンさん。「ようこそ、ハンニバルへ。ここはマーク・トウェインのおかげであなたのような外国からの観光客が絶えません。私たちはトウェインのことを”tourist trap”と呼んでいますよ」と笑顔で語る。「観光客を招きよせる罠」の意味だ。
ラグレインジ大学の学生寮に荷物を運び入れてほっと一息。偶然だが、紅顔の美少年だった37年前に南部ジョージア州に留学した先の大学もラグレインジ大学という名前だった。学生寮の部屋に入って当時を少し思い出した。
ハンニバルのダウンタウンには大学の教授がたまたまそちら方面に行くということでこれも同乗させてもらった。「ミッドウエスト・ホスピタリティー」はどこまでも続く。
一通り、トウェインがらみの博物館や当時住んでいた家などを見学した。作家の人となりが少し理解できたような気がした。さて、学生寮に戻ろう。タクシーなら5ドルぐらいだろう。でも、キャンパスの食堂はまだ閉店中で食事するところがないようだ。部屋にはテレビもなかった。
それで、ダウンタウンのバーで時間をつぶすことにした。ビールを飲みながら、博物館から渡されたセミナーの資料に目を通す。そのうちに客が増えてきた。明らかに地元の常連客だ。隣に座った中年の男性が話しかけてきた。ジョージ。58歳。生粋のハンニバル男。年齢も近いし、話が弾んだ。ロサンゼルスだったら、こうはいかないだろう。ニューヨークならどうだろうか。そんなことを思いながら、グラスを傾けた。
(写真は上から、ハンニバルのダウンタウン。ミシシッピ川の近くに立つトウェインの像。作家が少年時代を送った家の前の塀。『トム・ソーヤーの冒険』でトムが言葉巧みに遊び仲間の少年たちに塀のペンキ塗りの仕事を手伝わせたエピソードで名高い塀だ。備え付けのブラシを手にした少年が家族に記念の写真を撮ってもらっていた)
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