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セントルイス点描

  • 2011-08-06 (Sat) 12:20
  • 総合

 前回の項で、「ガーデンシティを出て、西隣のミズーリー州の大都市セントルイスに到着した」と書いたが、「東隣」の誤りだった。「方向音痴」も極まれり。
 セントルイスのダウンタウンを手っ取り早く歩いて見た。ホテルはダウンタウンへ歩くには遠すぎる。タクシーは使いたくないので、ホテルのフロントで尋ねたら、バスとメトロ(電車)に乗ることを勧められた。2ドル75セント(約230円)の切符を買えば、2時間は何度でも乗り換え自由だとの由。
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 確かに便利だったが、それより、驚いたのは、駅に改札がないことだ。階段を下りればそこがホームであり、語弊を恐れずに言えば、すっと乗って、すっと下車できる。その気になれば、無賃乗車の仕放題に思えた。鷹揚と言えば鷹揚である。
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 とりあえず、ミシシッピ川が見たかった。これからその「故郷」を訪ねるマーク・トウェインの個性、文学を育んだ、トウェインにとっては切っても切れない縁の川である。メトロの路線図を見ると、East Riverfrontという駅名がある。リバーフロントというだけに川のそばに駅があり、豊かな水量のミシシッピ川が眼下に見えた。ホームの路線図を改めて見ていると、川のこちら側はイリノイ州と記してある。川が州境になっているのだ。
 再び電車に乗り、対岸のミズーリー州にある駅で下車した。Laclede’s Landing。「ラクリーズ・ランディング」と呼ぶらしい。石畳で古い建物が多く、かつての雰囲気を醸し出そうとしていることが分かる。どこかで似たような地名に出会った気がする。思い出した。トウェインの中編小説の”Pudd’nhead Wilson”の舞台となった架空の地がDawson’s Landingという町だった。(参考までに、私が昨年『二人の運命は二度変わる』とのタイトルで翻訳したのがこの本です)
 カフェの外のテーブルに座り、道行く人たちを眺めた。夏休みの最後を過ごす家族連れが目についた。カリフォルニアを出てからは猛暑の日々が続いていたが、今日は珍しく朝方に雨が降ったせいか、暑さはそうでもない。
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 トウェインの本で読みたかった本があり、古本屋を探してダウンタウンを歩いたが目当ての本を見つけることはできなかった。のぞいた書店の隣がレストランになっていた。メニューを見ると、「ビールとワインの専門店」であることが分かった。「今日は金曜日か。日本はもう土曜日になっているな」と思いながら、ビールを飲むことにする。(こちらに来てから、週末が随分増えた気がする)。生ビールを頼んだら、味見をして選べと言う。見ていると、コックから小さいコップに二種類のビールを少量注いでくれた。57種類のビールが飲めるという。こういう店が行きずりだけの縁となるのが辛い。
 (写真は上から、メトロの駅。イリノイ州側から見たミシシッピ川。樽からビールを注ぐコックの前で微笑むレストラン従業員のお嬢さん。背後にビールの銘柄がずらり)
 (注・カポーティの③を若干修正しました。彼が”In Cold Blood”で訴えたかったと私が思うことを加筆しました。遅ればせながら)

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