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ウィラ・キャザー (Willa Cather) ③

  • 2011-07-20 (Wed) 22:25
  • 総合

 『マイ・アントニア』では最初の結婚に失敗した後、貧しい農場の実家に帰り、やがて実直な男と再婚し、11人の健康な子供を育て、一家の大黒柱となる女性、アントニアの姿が描かれている。町の名前はキャザーが育ったレッドクラウドではないが、『おお開拓者たちよ』同様、レッドクラウドでの経験が素地となっている。このヒロインのモデルとなったのはボヘミア(チェコ)からの移民で、キャザーの友人の家でお手伝いさんをしていた女性だったことが分かっている。
 物語の語り手である、多少、人生に疲れた感のある弁護士稼業の「私」はアントニアと幼馴染であり、彼女の生気あふれる美しさにいつもまばゆい思いをしてきていた。久しぶりに彼女と再会し、彼女を取り巻く溌剌とした子供たちを目にして「私」は納得する。
「彼女の息子たちが背も高く、真っ直ぐに育っているのは不思議なことではない。彼女はかつて私たちの祖先がそうだったように、生命力の豊かな源泉なのだ」と。It was no wonder that her sons stood tall and straight. She was a rich mine of life, like the founders of early races.null
 ここでも、たくましく生きる女性が瑞々しく描かれている。ずっと気になっていた素朴な疑問をネブラスカ歴史博物館でキャザー展を担当している学芸員のティナさんにぶつけてみた。「彼女の履歴を見ると、一度も結婚していない。彼女は常に親しい女性の友人と同居の暮らしをしている。彼女は今でいうゲイ(同性愛者)だったのでしょうか」
 「おそらくそうでしょう。レッドクラウドでは今も、彼女が髪の毛は男の子のように短く切って、男性がかぶるような帽子を身に付け、女の子からは程遠い装いをしていたことが話題になることがあります」
 「今のアメリカは州によっては男であれ、女であれ、ゲイ同士の結婚さえ容認される社会。彼女は生まれたのが1世紀早過ぎたのですね」
 「そういうことですね。彼女は小さい時から聡明でシェイクスピアを愛読し、長い詩をそらんじることができたそうです。だから、彼女の母親はウィラを大学に通わせ、その才能を最大限に花咲かせようとしました。リンカーンにあるネブラスカ大学に16歳で入学します。卒業後は大学に残り、教壇に立とうとしましたが、独特の個性ゆえに一部の教授の不興を買ったのかその道を断たれます」
 よく考えれば、彼女が生まれた1873年は日本で言えば、明治6年。日本でこのころ、女子に対する教育の大切さがどれほど認識されていたのか私は知らない。
 キャザーはやがて女性雑誌の編集の仕事に就き、最終的にはニューヨークに移り、作家としての日々をスタートさせる。作品がヒットし注目を集めるようになっても、彼女はプライバシーを大切にして、脚光を浴びる場に身を置くことは好まなかったという。
 (写真は、開催中のキャザー展で作家が好んだ衣服の特徴を説明する学芸員のティナさん。今見ても高価そうな衣服であることが分かる)
 
 ▼時折、英語の文章を掲載していますが、これは自分の英語力をひけらかすためではもちろんありません。この旅では旅先で出会うアメリカ人の方々にお世話になっており、彼らに私がなぜアメリカをさるいているのか、この旅でどんなことを感じているのか、理解してもらうために、恥をしのんで英語で書いています。彼らには右端の「Categories」のコーナーに「Random Thoughts」としてまとめたサイトを教えて、読んでもらっています。そういう事情です。私のブログは一つしかないため、「日英混合」となっております。以前にも記しましたが、私の英語はネイティブのチェックが入っていない、言わばJapalish(Japanese-English)の「粗悪品」です。できれば、すっ飛ばして、日本語のブログだけを読んで下さい。タバコではありませんが、「読み過ぎ」ると、皆様の英語力に害をもたらす危険性がありますことをご承知ください。

Comments:1

mutsuo 2011-07-26 (Tue) 14:22

那須君の英語は粗悪品じゃねえわ。
大したもんじゃ。

そんうえ、誰かも書いちょらったが、分かりやすい英語で書いてくれちょるかい、おっどんも親しみやすい。

でん、やっぱ、俺にゃ骨が折るる。
英語のところはすっとばしじゃ。

日英両ネイティブに気を使うことは、なかなか大変なことじゃろうけど、がんばってください。

そんじゃまたじゃろ。

上の本文の写真、ウィラ・キャザーを撮ったとか、それとん、それを見ている女性を撮ったとかが気になるが(笑)。

嫁さんを連れて帰ってきないよ。

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